感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
7
人類学的観点から社会を捉える著者は、前巻で「全体的社会的現象」としての贈与と交換、そして西洋近代には払拭されたかに見える呪術から近代以後の社会を再考する契機を与えた。本巻では「全体的人間」をモチーフとし、心と身体、心理学と社会学を今を生きる「現実」から捉え直す。著者が注目したのは、社会だけでなく生きるための教育であるタブーと生きた身体の「技法」である。身体の動き(泳法の例)の教育から検討を始める著者は、環境と身体、道具と身体の結びつきの教育から、意識だけでなく無意識と混ざり合う人間の「全体」を見て取る。2024/02/21