出版社内容情報
離合集散を繰り返す派閥の内実を第一線の政治記者ならではのきめ細かな観察眼で描き出す。いまに生きる不朽の派閥論、復刊!
内容説明
若き政治記者=渡辺恒雄の記念碑的処女作。いまに生きる不朽の派閥論―復刊!
目次
前篇 派閥の芽生え(派閥と領袖;派閥と政治資金;派閥と選挙区制;派閥と猟官;派閥と政策;官僚と政党)
後篇 派閥の形成と領袖の系譜(悲劇の派閥;譜代・外様の葛藤(岸派)
党人派の結束(大野派)
実力者の誕生(河野派)
中間派の宿命(石井派)
官僚陣営の進出(池田派と佐藤派)
孤独な勝負師(石橋派)
保守と革新との間(三木派)
寝業師の終末(大麻派)
元首相の限界(芦田派)
革新派青年将校団(北村派)
新興派閥群)
著者等紹介
渡辺恒雄[ワタナベツネオ]
1926(大正15)年東京生まれ。東京大学文学部哲学科卒。現在、読売新聞グループ本社代表取締役会長・主筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Takuji Izumisawa
3
ナベツネの本て面白いんだよね。派閥こそ党内の民主性を保つ方法だという話、言われれば超当たり前なんだけど全然考えたことなかったしそんな論調も見たことなかったので目鱗だった。渡邉恒雄回顧録も同様で自民党こそ戦前の過ちが起きないような制度風習が作られているという新しい気付きがある。具体的な人物などは実感のない時代の話なので後半は読み飛ばした。また、当時と官僚の持つ力が違いすぎて官僚批判は実感湧かなかった。官僚の役割が違うなら東大減みたいな話の捉え方も変わりそう。2024/06/27
のん
2
1958年岸内閣の時代に若き日の渡邉恒雄が執筆。当時32歳である。前半は保守党の派閥論、後半は1958年時点の自民党の各派閥についての個別の解説となっている。また、官僚政治からいかにして民主政治、政党政治を守るかという視点が本書には一貫してあり、渡邉恒雄の政治観も垣間見える。2024/03/28
Hisashi Tokunaga
2
渡辺恒雄氏の初期著作だけに若々しい切り込みの文章が新鮮だ。今また自民党の派閥が世上を大いに沸かせている時、時宜を得た読書だった。生々しい初期戦後自民党の小集団の離合集散をドキュメントしつつその本質に迫ろうとする論調は、日本保守党の原理論に純化できそうな予感すら。2024/01/27
麦茶
0
派閥といっても1980年代のような党中党として組織化された頃の派閥ではなく55年体制初期の自民党がまだ不安定だった頃の派閥についての概略書である。しかし書いてあることは末尾の派閥所属議員一覧や一貫した反官僚派的な論調含めて面白かった。今度は手元に置いて読んでみたい2022/01/22
わび
0
読売グループの「ドン」、渡邉恒雄が一介の政治記者だった頃に著した処女作。本書が書かれた1958年、岸内閣期は半世紀以上前のことであり、書かれたもののすべてをそのまま現代に適用することは難しいが、学生運動上がりのナベツネの政治観や分析の鋭さ、同時代の空気や人物評価を知ることができて面白い一冊であった。2018/09/04