出版社内容情報
「国家が刑罰を科すに値する行為とは何か」を問い直す!憲法学の枠組みの中で刑事立法を考え、刑法学と憲法学との対話を促す意欲作。●「国家が刑罰を科すに値する行為とは何か」を根底から問い直す!
立法学と憲法学と刑法学とが交錯する領域に初めて踏み込み、刑法学からの立法批判のあり方を提示した果敢な試み。
国家が処罰される者に対して不利益を課すためには、それを正当化する理由(目的)が必要であり、不利益の賦課はその目的達成のために相当なものでなければならないという本書のスタンスは、憲法学における三段階審査と目的審査、手段審査(比例原則)に対応する。
憲法学の枠組みの中で刑事立法を考え、刑法学と憲法学との対話を促す意欲作。
2014年の児童ポルノ禁止法の改正で問題とされた「児童ポルノ」を自己の性的好奇心を満たす目的で所持することの犯罪化を素材に、自らが提言した立法批判・提言手法の枠組みの有効性を、鮮やかに検証した著者渾身の一冊。
序─憲法から刑事立法を論じる意味
1章 刑事立法はどのように審査されてきたのか
1節 裁判所による審査―日本とドイツ
2節 刑法学が行なってきたこと―法益論による立法批判
3節 法益論に対する疑問―法益論の何がいけないのか
4節 法益論から憲法へ―構築すべき立法批判枠組の基本構造
2章 刑事立法はどのように審査されるべきなのか─あるべき立法批判枠組の構築
1節 行為規範・制裁規範の具体的内容―用語の整理
2節 行為規範の正統性
3節 制裁規範の正統性(1)批難提起の正統性―非難されるべき行為なのか
4節 制裁規範の正統性(2)刑罰投入の正統性―刑罰まで科してよいのか
5節 制裁規範の正統性(3)法定刑の正統性―懲役何年が妥当なのか
3章 児童ポルノの所持を本当に処罰しますか─立法批判枠組の具体的適用
1節 児童ポルノ禁止法における児童ポルノ規制の概要
2節 児童ポルノ所持の規制内容―私的所持罪の行為規範の正統性
3節 児童ポルノ私的所持の非難性―私的所持罪の制裁規範の正統性(1)非難提起の正統性
4節 私的所持の当罰性―私的所持罪の制裁規範の正統性(2)刑罰投入の正統性
5節 懲役何年が妥当なのか―私的所持罪の制裁規範の正統性(3)法定刑の正統性
6節 刑罰以外の選択肢の可能性
結─刑法は1人で歩むのか?
引用文献一覧/引用判例一覧/事項索引
上田 正基[ウエダ マサキ]
内容説明
国家が刑罰を科すに値する行為とは?憲法学と刑法学と立法学とが交錯する領域に初めて踏み込み、刑法学からの立法批判のあり方を提示した果敢な試み。児童ポルノ所持を素材にその具体的な機能性を実証する。
目次
序 憲法から刑事立法を論じる意味
第1章 刑事立法はどのように審査されてきたのか(裁判所による審査―日本とドイツ;刑法学が行なってきたこと―法益論による立法批判;法益論に対する疑問―法益論の何がいけないのか;法益論から憲法へ―法益論が審査しようとしているもの)
第2章 刑事立法はどのように審査されるべきなのか―あるべき立法批判枠組の構築(行為規範・制裁規範の具体的内容―用語の整理;行為規範の正統性―どのような行為が規制されてよいのか;制裁規範の正統性(1)非難提起の正統性―非難されるべき行為なのか
制裁規範の正当性(2)刑罰投入の正統性―刑罰まで科してよいのか
制裁規範の正統性(3)法定刑の正統性)
第3章 児童ポルノの所持を本当に処罰しますか―立法批判枠組の具体的適用(児童ポルノ禁止法における児童ポルノ規制の概要;児童ポルノ所持の規制内容―私的所持罪の行為規範の正統性;児童ポルノ私的所持の非難性―私的所持罪の制裁規範の正統性(1)非難提起の正統性
私的所持の当罰性―私的所持罪の制裁規範の正統性(2)刑罰投入の正統性
懲役何年が妥当なのか―私的所持罪の制裁規範の正統性(3)法定刑の正統性
刑罰以外の選択肢の可能性)
結 刑法は1人で歩むのか?
著者等紹介
上田正基[ウエダマサキ]
1988年兵庫県に生まれる。2010年京都大学法学部卒業。2012年京都大学大学院法学研究科法曹養成専攻(法科大学院)修了。2015年京都大学大学院法学研究科法政理論専攻博士後期課程修了、博士(法学)。現在、京都大学大学院法学研究科特定助教(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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