内容説明
沈黙とは―一、この世この生の地肌に「非知なまま」触れること(沈淪)。二、それにより、いのち息吹いて視座転換が起きること(変容)。三、よって、この世この生の真相・深層(=存在神秘)に目覚めること(覚醒)。この三つの非言語的根本体験が重層的に起きる営みを、“沈黙”と考える。一は最近の「新しい実在論」が逢着した難問(いかにして人は実在に迫れるのか)に答える思索となり、二は、根本苦悩(ニヒリズム)に対する解答。三は、沈淪と変容が熟成する「沈黙の態度」こそ、忘れられた倫理の源泉であることを示す。
目次
序章 なぜ沈黙なのか
第1章 沈黙の現れ
第2章 非知に触れる
第3章 ひっくり返る
第4章 真空妙有
第5章 黙撃
第6章 不帰を呑む
終章 黙受―海容倫理の可能性
著者等紹介
古東哲明[コトウテツアキ]
1950年生まれ。京都大学哲学科卒業、同大学院博士課程単位取得満期退学。広島大学名誉教授、NHK文化センター教員。専門は、哲学、現代思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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