内容説明
人間だけが進化で獲得するに至った「泣く」という行為を、自動車事故で妻を失った男性ができなくなったのはなぜか?拒食症の症状を呈する女性患者の脳は、最も原始的・本能的な欲求にどのように抗っているのか。鬱病と認知症によってだんだんと話さなくなった老人の内面で、「喜び」を感じる能力はどう変化しているのか?光で脳の活性を観測・制御する「光遺伝学」の第一人者として知られるダイセロス博士は、有名な精神科医でもある。最先端の脳神経科学の知識と技術にくわえ、患者の苦悩への深い共感、そしてその内面世界を想像する努力によって、人間の「こころ」と感情の起源がだんだんと明らかになってくる。「壊れたこころ」こそ、「壊れていないこころ」を照らし出すことができるのだ。数々の興味深い症例を通して、人間の根源と進化の真実に迫るノンフィクション話題作。
目次
序章
第1章 涙の貯蔵所―脳幹がん、大鬱病
第2章 初発―躁病、双極性障害
第3章 情報保持能力―自殺願望、自閉スペクトラム症
第4章 傷ついた皮膚―境界性人格障害
第5章 ファラデーケージ―統合失調症
第6章 自己充足―不安障害、摂食障害
第7章 モロー―認知症
終章
著者等紹介
ダイセロス,カール[ダイセロス,カール] [Deisseroth,Karl]
スタンフォード大学の生物工学、精神医学、行動科学の教授。気分障害や自閉スペクトラム症患者の治療のかたわら、学生の指導に当たっている。光遺伝学の第一人者として知られ、2018年に京都賞、2020年にハイネケン賞、2021年にラスカー賞、2022年にホロウィッツ賞など、数々の受賞歴がある
大田直子[オオタナオコ]
翻訳家。東京大学文学部社会心理学科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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