内容説明
愛人「江青」を毛沢東に捧げた男「康生」が創った恐怖の陰謀帝国。
目次
序章 特務のボス、死す!
第1章 特務機関の誕生
第2章 ソ連の諜報機関と中国共産党
第3章 延安時代
第4章 「労改」、中国の強制収容所
第5章 康生の失意と復活
第6章 文化大革命の嵐
第7章 偉大なる異端審問官
第8章 「林彪は死ね。ニクソンよ永遠に!」
第9章 影の声
第10章 〓小平の時代
終章 「天安門」以後の中国諜報界
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
2
著者はフランスの有力紙ル・モンドの元記者の二人。中国共産党の諜報機関の歴史を、その結党直後から遡って80年代の天安門事件まで、その実力者だった康生の去就を中心に概観する。諜報機関といっても、対外諜報よりも防諜(敵対勢力の諜報活動から自陣営を守る)中心なのが、共産党の置かれた状況を物語っている。しかも、共産党内で幾つも諜報機関が林立し、それが防諜しながら、互いに隙あらば他の組織を潰そうと画策し続けているという複雑怪奇な有様。だから、読んでいると一体状況がどうなっているのかわからなくなってくる。中国は魔界だ 2024/09/28
ゆうろう
0
さながら陰の中国現代史。確かに革命成就後の毛沢東の施政には疑問点だらけだが、P75, 171でも述べられている如く、結局、共産主義は個人個人を不幸にするシステムだと思わざるを得ない。真偽のほどはともかく、中国現代史の陰険な部分を詳述している。訳もこなれており興味深く読み進めることができたが、P184〜186の「林彪、死の真相」は通説とは全く異なり、眉唾物だ。この種の著作は、やはり事実記載が大前提・最重要であり、特に改革開放時代以降の記述では、胡耀邦や趙紫陽の肩書誤記が散見されたのにも興醒めした。及第点○ 2023/09/30