出版社内容情報
藤井誠二[フジイ セイジ]
著・文・その他
内容説明
故・翁長雄志前知事の遺志を引き継ぐ沖縄県知事・玉城デニー。彼が歩んできた道を辿ることは、沖縄と日本の未来を見つめる旅でもある。沖縄と東京で半移住生活を送るノンフィクション作家が記録した、「語り」と「心」の物語。
目次
第1章 四畳半の青春―伝説の高校生ロックバンド「ウィザード」
第2章 5人の「後輩」たち
第3章 激動の日々
第4章 「あんたは『日の丸』を振らなくていい」
第5章 ミックスルーツと「沖縄アイデンティティ」
第6章 政治家、結婚、ルーツ
著者等紹介
藤井誠二[フジイセイジ]
1965年愛知県生まれ。ノンフィクションライター。愛知淑徳大学非常勤講師。ラジオのパーソナリティやテレビのコメンテーターも務めてきた。沖縄関連の著書に『沖縄アンダーグラウンド―売春街を生きた者たち』(集英社文庫、第5回沖縄書店大賞・沖縄部門大賞受賞)などがある。対談本等もあわせると50冊近い著作がある。ミックスルーツの女性の人生を描いたウェブ媒体のルポで「PEPジャーナリズム大賞2021・現場部門」を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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中玉ケビン砂糖
63
良くも悪くもウチナーの心の裡をがっちり摑んでる人なんだなと一読して思う。FENの音楽に入り浸り、「紫」「コンディション・グリーン」をはじめとした猛者に親しみ、自身もバンド活動に明け暮れていたなんてことのない青春(とはいえ、ライブハウスで下手な演奏でもしようものならアメリカ人からビール瓶が飛んでくる戦場)。流石にハダカのレスポールをひっさげて登校してたというくだりは「盛ってるだろ!」と言いたくなったもののご愛敬。ただ、地元タレントとして活躍したのち、2023/06/03
ノンケ女医長
18
玉城デニー氏が県知事になる前から交流のある方々に、インタビューが行われている。応じたということは、良好な関係にあるわけだから、作品全体には当然、好意的な雰囲気が漂う。特別待遇ではないか、と眉を潜めてしまうような記述も何点かあった。ぎこちない忖度のようにも思ったが、それが人と人を結ぶ縁だと収斂するのだろうか。全てを鵜呑みにすることはできないけれど、沖縄県知事は揺るぎのない情熱の持ち主であることは分かった。生活歴は、とても興味深かった。今後、別の市長になるんでしょうか。2023/03/21
えりまき
18
2023(47)沖縄県知事・玉城デニーさんの伝記と沖縄の歴史。「沖縄は日本の中で差別され、沖縄の中でハーフは差別され、その捩じれの間を生き抜いてきた人が沖縄のトップにいるんです。」。デニーさんの育ての母の言葉「十人十色で10本の指のかたちも長さも違うのだから、きにする必要ないよ。デニー、あなたね、容姿は皮一枚だよ、皮脱いだらみんな赤い血がながれて、同じだよ」に感動しました。 2023/02/23
二人娘の父
14
凡庸な表現だが「激動」の沖縄戦後史の一端を学ぶことができる。沖縄、ミックスルーツという要素だけを取り上げても、多くの物語があるはずだ。偶然だがETV特集の混血孤児のドキュメンタリー作品を視聴した。混血児として生まれ施設で育った方たちの戦後史である。玉城デニーは孤児ではない。だが孤児として生きた同世代の子どもたちとの差は紙一重である。戦争が生み出す付加的被害、悲劇の大きさをあらためて感じる。同時に現在行われている沖縄県知事選で多様性の象徴でもある本書の主人公、玉城デニーが再選されることを祈りたい。2022/09/05
めぐ
9
この人アメラジアンなのになんで反米親中なんだろうなぁと訝ってはいたが、どんな生い立ちでどんな若者だったのかを知る事が出来た。米兵だった父は誰かも分からず没交渉、幼少期には嫌なーアメリカと虐められる。そしてロック魂、と。成る程ね、諒解。あまりミックスルーツに対する日本人のイメージを悪くしないで貰いたいものだなと欧州系の私などは気を揉んでしまう2023/01/21