出版社内容情報
祈るとは? 参拝の仕方は? 島へんろの魅力とは?などを、島在住のエッセイストが試行錯誤しながら面白く描くお遍路エッセイ。
内容説明
集落に、一歩入るとラビリンス(迷宮)。般若心経を唱え、迷って、歩いて、また迷って―知られざる巡礼路、小豆島八十八ヶ所。結願まで約2年の迷走巡礼記!
目次
1 四海線を、北へ(悟りの世界よ、こんにちは;マダムたちと「女子へんろ」 ほか)
2 北廻り福田線(北廻り福田線を、東へ;文学の中のお遍路さん ほか)
3 南廻り福田線(團蔵とへんろ;碁石山と慈空さん ほか)
4 草壁から、西へ(三都半島を、南へ;花寿波島を望みながら ほか)
5 かけこみ結願(打ち止めの日;祈りの効用 ほか)
著者等紹介
内澤旬子[ウチザワジュンコ]
1967年、神奈川県生まれ。文筆家、イラストレーター。『身体のいいなり』で第27回講談社エッセイ賞受賞。著書多数。2014年に小豆島に移住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆいまある
95
癌に侵され、ストーカー被害に遭った内澤さんは、PTSDに苦しみながらの小豆島歩き遍路を決行する。宗教から距離を置いて独りで立ち向かってきたが、大いなるものに委ねていい、大人だって泣いていいと気づくのだ。絶景が連なる島だが、霊場は打ち捨てられており、観光資源として活用されていない。勿体無い。2年かけて人目に触れない山道を歩く内、死の恐怖と対人恐怖を少しずつ克服する内澤さん。歩き終え、島と一体感を得たことで心の平和を得る内澤さん。次は遍路道を整備することで人の役に立とうとする内澤さん。これが回復というものだ。2020/11/29
pohcho
59
小豆島歩き遍路の記録。四国のお遍路は有名だけど、小豆島にもあるとは知らなかった。自称猛烈な方向音痴の内澤さん、とにかく迷子になってばかりなので、初めの頃は特に ちゃんとたどりつけるのかという緊張感が半端ない(笑) それでも、かつて小豆島に移住された時のように、何でも器用にこなすタイプでは決してない内澤さんが、四苦八苦しながらも自分なりのスタイルを確立し、最後までやり遂げてしまうところが素敵だなと思う。小豆島には行ったことがないのだけど、岩窟系寺院を一度見てみたい。2021/05/04
aloha0307
23
小豆島は想像以上に大きな島🏝でした 在住の作家;中澤さんが、行程150キロの女ひとりお遍路に挑みます🌸 なんて過酷な道行きだろう…般若心経は現世利益を謳わす、唱えると澄み渡る中澤さんのこころの描写が生き生きと…怒りや悲しみすら客観化してしまう この境地に到ってみたいな🌸 2021/04/25
Sakie
21
書き出しは『小豆島のお遍路回ってみようかな』と軽い。しかし、読み終えてみれば深い深い体験だったのだと知る。内澤さんの言うように、我が身や親しい人に降りかかる悪しきことのどこからが自分のせいで、どこからがそうでないのか、わからないことすらもが自身を苛む。歩いて歩いて、そのうちに抱えていた辛苦を手放すための装置が、遍路なのだろう。私も歩きたい。車の排気ガスに巻かれながらアスファルトの上を歩く四国遍路じゃなくて、海や山や、岩壁岩窟系寺院を巡る小豆島遍路に私も出たい。身中に滞る全てを解き放つことができたらと願う。2020/12/03
kane_katu
11
★★★☆☆四国のお遍路はもちろん知っているが、小豆島にもあるのは知らなかった。そこを著者は歩いて巡る。といっても、目的地付近まで車で行って、1日くらい歩いてまた家に帰る。間も結構空いたようで、全部回るのに2年くらい掛かったようだ。にしても、歩いて回るというのはかなり大変で、文章からもそれが伝わってくる。読んでいるだけだと感じが掴めないので、途中でグーグルストリートビューも見ながら読んだ。そうすると多少なりとも景色や道の様子が伺えた。小豆島岩窟寺院群はかなりすごそうなので、いつか機会があれば行ってみたい。2021/03/17