内容説明
粗忽者で有名な熊五郎の長屋に怒鳴り込んできた、これまた粗忽者の八五郎。「熊、おめえ浅草の浅草寺で死んでるぞ。この粗忽者め、死んだのに気がつかねえで帰ってきやがったな?」―いかにも落語ならではの粗忽噺『粗忽長屋』。しかし、浅草寺で行き倒れていた「熊五郎に瓜二つの死体」の正体はいったい?(表題作)。名作落語をもう一捻り、楽しさ溢れる推理落語開演!
著者等紹介
河合莞爾[カワイカンジ]
熊本県生まれ。早稲田大学法学部卒。現在、出版社勤務。2012年、『デッドマン』で第32回横溝正史ミステリ大賞を受賞してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ダイ@2019.11.2~一時休止
136
連作短編集。古典落語の中に隠された謎を解き明かす。時代物ではあるがキャラのボケが多く、時事ネタも織り交ぜて読みやすく面白かった。2016/08/27
nobby
131
お江戸の長屋を舞台にした気分で、古典落語をより深めた快作。『粗忽長屋』をはじめ取り上げられた演目もとい落語そのものをほぼ知らずで読んだが、度々クスっと声漏らしながら純枠に楽しんだ。熊さんと八っつぁんが「てぇへんだ!」と騒ぎ立てるのを、長屋のご隠居が解き明かす展開は分かりやすく爽快。その話の膨らませ方や、笑いを誘うのと同時にしんみりと心に残るバランスのよいオチが絶妙。何よりの醍醐味は作品全般で繰り広げられるコミカルな台詞の掛け合い。駄洒落や時事風刺・実名そして自作の宣伝まで、もう何でもありな様がたまらない!2017/11/18
nico🐬波待ち中
86
古典落語に出てくる謎解きを面白可笑しく解き明かす短編集。登場するのはお江戸に住まう貧乏長屋の愉快な面々。メインとなるのは物知りなご隠居に、おっちょこちょいでお人好しの熊さん八っつぁんコンビ。みんな口は悪いが気のいい奴ら。軽快なやり取りに読んでるこちらも笑ったりツッコミを入れたり、と物語に参加している気分でまた楽し。江戸の話のはずなのに現代の言葉や単語も散りばめられて、いや〜愉快愉快。しかもどの短編も落語とあって締め方も粋でスッキリ。かの『おけら長屋』のように、ぜひ『粗忽長屋』シリーズとして続けてほしい。2022/03/19
たいぱぱ
80
古典落語に出てくる奇妙な事件を、てやんでい!的江戸っ子気質に推理小説風に謎解きしてくれるお話です。う〜ん書いてて意味がわからないけど、まぁいいか。古典落語によく出てくる熊さんと八っつぁん、そして長屋のご隠居が名探偵役で登場します。登場しますって言ってるんですが、古典落語を聞いた事ないんで誰ひとり知りませんけどね(笑)。この作品はアイデアの勝利。とても楽しんで江戸の町の雰囲気を感じさせてもらいました。しかし八っつぁんの洒落のいう名の親父ギャグは、なんだか自分の毎日見てる様で恥ずかしくなってきたよ(笑)。2022/05/30
だんじろー
79
筆者の“落語愛”あふれる人情ミステリー。ご隠居のひらめき方が突拍子もないので、そのリズムに慣れるまでに一苦労するも、肩肘張らずに読み進められる良作揃いかと。本家である古典に勝るとも劣らない「下げ」には感心しきり。それにしても「れえ、~」のくだりはさすがに反則でしょ。2016/05/16
-
- 和書
- ドイツ4号戦車戦場写真集