波風

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  • サイズ B6判/ページ数 295p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784334929565
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

母はなぜあんな冴えない男と再婚したのだろうか(「鬼灯」)。結婚式を控えた青年がいちばん感謝を表したかった女性(「月夜のディナー」)。高校野球の天才投手が右手を失った(「テンの手」)。86歳の男性は、なぜ、女性ばかりの着付け教室に通ってくるのか(「結い言」)。現実世界はとっくに引退していたつもりのアイドルヲタが受ける衝撃(「真昼の月」)。思考を止めなければ生きていけなくなった女性が、選んだ町で(「デンジソウ」)。「一生に一度の頼み」と、女性は親友をある旅に誘った。独身36歳の一大決心―悩める人たちの活路を開く七話。

著者等紹介

藤岡陽子[フジオカヨウコ]
1971年京都府生まれ。同志社大学文学部卒業。報知新聞社を経て、タンザニア・ダルエスサラーム大留学。慈恵看護専門学校卒業。2006年「結い言」が宮本輝氏が選考する「北日本文学賞」の選奨を受ける。2009年、『いつまでも白い羽根』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

おしゃべりメガネ

219
素晴らしい!ヒューマニティ溢れる7編の短編集で、その一つ一つのストーリーの完成度が本当に高いです。単なる100%ハッピーだけじゃなく、どこかに人間の切なさや哀しさが織り込まれていますが、その分量というか、さじ加減が絶妙です。そのシリアスな感じがあってこそ、人間味あふれる作風により深みが加わっているように感じます。中でも『テンの手』は過去あらゆる短編の中でも1,2を争う完成度です。奇しくも自分が住んでいるオホーツクエリアのとある街での出来事が書かれていますが、この1編を読むだけでも十分に価値がありました。2015/07/17

名古屋ケムンパス

195
悩める人にやさしく語りかける短編集です。このうち「月夜のディナー」に心洗われ、「テンの手」では涙を堪え切れませんでした。再婚した母に捨てられた姪と甥を温かく受け入れる観音様のような「月夜のディナー」のマア子おばさんに救われ、そのおばさんへの感謝の気持ちを抱いて生きる姉弟の姿には勇気づけられました。「テンの手」では、自らの不幸を嘆くことよりも友人を思い遣る気持ちを大切にすることができる仲間を「親友」と呼ぶんだと教えてもらえた気がしています。2015/06/27

文庫フリーク@灯れ松明の火

178
『手のひらの音符』で心を鷲掴みにされた藤岡陽子さん2冊目。7作収録の短編集・山本周五郎さん感じさせる「月夜のディナー」「鬼灯」に惹かれる。「鬼灯」の【ほろほろ、幸せがこぼれていきよる】という描写に、脈絡も無く浮かんだのは半村良さん「へろへろ」長くなりますが、抜粋して引用させて頂きます。「うちのおやじが四十代の頃のことです。恋人ができたんだそうです。相手は向島の人で。ばれて、よくおふくろと喧嘩してました。あんた、その人にへろへろにされてるんだからって・・おふくろが言ったんです。ずいぶん長い間、そんな揉め方→2015/05/18

紫綺

150
それぞれに趣の異なる短編集。哀しい話ばかりなのに、心打たれて涙が滲む・・・そんな儚いクリスタルのような七編。私には、特に「結い言」が印象的だった。しんみりしたい時にオススメの一冊。2014/12/30

mariya926

144
藤岡陽子さんの短編集でした。最初は短編だと知らずにずっと続くと思っていたので、急に終わってしまった時は驚きましたが、7つの短編すべてが波風のような人生の中、波風を乗り越えていったことを感じることができました。藤岡さんが看護師だからか、看護婦の話も多かったですが、人生を生きる中で溜まっていく膿みたいなものが流されていく波風を感じました。どれも愛おしい物語で、人生が上手くいっているというより疲れが出てくる30代や、離婚した人などが出てきますが、私もその人たちの気持ちを理解できる歳になったんだと感じました。2020/01/07

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