内容説明
十六世紀。スコットランドの高地に牧童として生まれたアラン・ジョスリンは、十七歳で戦士集団に加わり、アイルランドに渡る。そこで出会ったのは、オマリーの氏族の猛々しくも魅力的な男たちと、赤い縮れ毛を短く切った、十歳の少女グローニャ。闘いと航海に明け暮れる、波瀾の日々の幕開けだった―。
著者等紹介
皆川博子[ミナガワヒロコ]
1930年生まれ。東京女子大学中退。1973年、『アルカディアの夏』で第20回小説現代新人賞受賞。1985年、『壁 旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞受賞。1986年、『恋紅』で第95回直木賞受賞。1990年、『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞受賞。1998年、『死の泉』で第32回吉川英治文学賞受賞。2012年、『開かせていただき光栄です』で第12回本格ミステリ大賞受賞。同年、第16回日本ミステリー文学大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
文庫フリーク@灯れ松明の火
132
中世東欧史の知識の乏しさを「貧弱!貧弱ゥ!ひんじゃくぅー!」と自嘲しつつ挫折しかける心を蹴り跳ばし、愚直に上下巻読破。全くのめり込めなかったプロローグ61ページまでが、2周目で凄まじく楽しい。気分は「オラオラオラオラ」ラッシュのオーランド・バード&ナサニエル・フック。実在の女海賊の中で、自ら船団を率いたのはアイルランドのグラニュエル・オマリー(グローニャ)のみ。スコットランドから戦士集団の一員としてアイルランドへ向かうアランとロイの兄弟。出会ったのは船の長にしてオマリー一族の族長・ドゥダラの娘グローニャ→2014/02/16
優希
95
面白かったです。16世紀の女性海賊・グローニャと彼女を取り巻く男性たちの物語。アイルランドとイングランドの抗争の歴史が背景になっているだけあり、リアルさを感じます。少女から大人へと移ろうグローニャと彼女を守る男性たちをめぐる海の協奏曲に否が応でも浸らずを得ませんでした。権力と謀略が渦巻く海賊の世界を堪能できますね。下巻も読みます。2017/09/19
財布にジャック
83
本音を言えば、上下巻の分厚さと、ずらっとカタカナ名前の並んだ登場人物一覧を見た時は、思わず読むのを止めようかと思いました。更にイングランドやアイルランドの歴史絡みの内容に、最後までついていけるのかと心配しながら恐る恐る読みましたが、なんとか上巻を無事読了出来ました。女海賊のグローニャが兎に角カッコイイです。憧れます!そして、一緒に描かれる従者のアランの生涯も波乱万丈で、彼が主役と言っても過言ではありません。下巻の展開が気になります。2013/11/03
naoっぴ
69
今年一冊目。読みごたえ満点の海洋歴史小説!16世紀アイルランドの氏族オマリーの族長の娘グローニャの物語。海で生きる男たちの荒っぽさ、力強さに圧倒される。まるで映画を観ているような臨場感だ。当時の海賊の詳細な描写は、緻密な時代考証にのっとったものなのだろう。じわじわと手を広げてくるイングランドの支配に対し、氏族同士は同盟を結ぶことができるのか、グローニャの運命は。登場人物が多いので巻頭の人物一覧はありがたい。下巻へ。2019/01/06
藤月はな(灯れ松明の火)
68
まず、FLASH&BLOODにも登場してくるシャイクスピア、ロバート・セシル、マローウ、エセックス伯の名や当時の文化知識に滾りました(笑)初盤の才気溢れる孤高の女王、エリザベスとアイルランドの海の女王、グラニュエル・オマリー。生い立ちや立場は対照的なのに魂に共通点のある二人の描写が印象的です。恋に対してのアランの不器用さぶりにもどかしくなりながらもアランとオシーンの友情やグローニャへの信頼は素敵><でもドナルのような威張るしか能のない男は、女にとって立場がなければ、直ぐに排除したいほど、邪魔でしかない。2013/11/15