内容説明
精神科医の伯父と暮らす少年、亮介。彼には眠っている人間の深層意識に入る「潜脳」という特殊能力があった。そして、同じ能力を持つ双子の姉妹がいた。3人には共通したある「過去」があった。東京・多摩地区で残酷で奇怪な連続殺人事件が発生。容疑者は犯行時の記憶がなく、睡眠中に誰かに操られたと主張、逮捕後も眠るたびにうなされ、暴れるという…。犯人の「脳」で何が起こっているのか。
著者等紹介
稲船敬二[イナフネケイジ]
1965年大阪府生まれ。ゲームクリエイター。カプコン在籍時に『鬼武者』『デッドライジング』シリーズ、『バイオハザード2』『ストリートファイター4』など大ヒットゲームを放ち、『モンスターハンター』では統括的立場として成功に導く。2010年に退社、株式会社comceptを設立。世界を相手にしたコンテンツを作り続けている
弐藤水流[ニトウミズル]
1966年福岡県生まれ。映画館勤務などさまざまな職を経験する。2009年、鈴木光司氏の「これは2009年の『リング』だ!」、平山夢明氏の「奇想というものがインクを伝って忍び寄る」という推薦が寄せられた、時空を超え展開するホラー長編『リビドヲ』(光文社)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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11
人間の深層心理に入りこむ『洗脳』という特殊能力。その能力を使い、過去に虐待した大人たちに復讐する藍子と朱美。そして同じく能力を持つ亮介は事件を解明するべく能力を活用する。それぞれ虐待されるという過去を持ちながら懸命にあがいている姿は痛ましく、前を向いて生きてほしいと願わざるを得ません。そしてラストですがあそこでマユの記憶を消す必要があったのだろうか…、一緒にトラウマを乗り越えるという選択肢は彼にはなかったのでしょうか。そこだけはひっかかってしまいます。この物語の中で誰か一人でも救われたのでしょうか。2013/04/13
まりこ
3
睡眠中の相手の深層意識を読み取る潜脳という能力を持つ主人公の話。自分で書いててものすごくトンデモ本の匂いがする。実際読みながら何度も、「これは脱出迷路と同じくらいトンデモ本の匂いがするぞ!」と何度も思いました。さらにありがちなラストだったけど、それでも感動した私はお手軽。あ、トンデモ本とは、有り得ないと呆れつつあるかもと心配し、馬鹿らしいと貶しつつ先が気になっちゃう本を私が勝手に名付けただけです。2012/11/14
ぶうたん
2
サイコダイブをネタにした作品。児童虐待を絡めているが、深く切り込むことは無く、響かない。潜脳と云う能力を何の疑問も無く受け容れている精神科医にも違和感が残る。色々と都合が良すぎるのかもしれない。なので面白くないことも無いが、至って平凡。刊行時に読んだデビュー作はもう少し面白かった記憶はあるのだが。2014/12/25
KyR
2
★2 潜脳という非科学的な能力が前提のお話。非科学的物はあまり好まないけど、人の意識に入れるのは不可能じゃないんじゃないかと思うと、さほど読み進めるのに苦痛はなかった。ただ、結局なんの解決もなく終わった感が。いろいろ話を広げた割にきちんとした解決もないのはいただけない。亮介の過去や現在、未来への心理的な変化も文章からいまいち感じられないしこの物語の中ではそこは重要な部分なんじゃ・・・。ラストにほっこり要素を持ってきたのかもしれないけど、いち読者としてはもやもやが残る。2012/12/02