内容説明
女に生まれたことは、不幸だろうか。長女―独りで死ぬと決めてマンションを買った。次女―幼い娘を部屋に閉じ込めてブログを書く。三女―姉たちに話せない秘密を抱えて結婚した。母―姑の召使として生きてきた。女の幸せを問う、三姉妹と母親の物語。
著者等紹介
朝比奈あすか[アサヒナアスカ]
1976年東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、出版社に勤務。結婚後に渡米。帰国後2006年、『憂鬱なハスビーン』で群像新人文学賞を受賞。ひたむきにリアルに女性心理を描く期待の若手作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆみねこ
92
自分の三人の娘と我が身に置き換えて読んでしまい、泣けて泣けて、でも悲しいのではなく、なんとも言いようのない温かさと感動の読書でした。凪子夫妻のこれからに幸多かれ。2016/02/20
ぶんこ
76
3姉妹と母の4人の女性の幸せとは? 凪子さんが亮一さんと、彼のご両親に子供が出来ないかもしれないと告げる場面で、その勇気に切なくなりました。彼もご両親も立派な方々でホッとしました。次女の月子さんの僻み振りに、愛されずに育ったと思い込んでいたら、母にとっては長女より可愛かったという言葉に仰天。物事を悪いほうにばかり受け止める性格は、本人にも周りにも辛いだろうな。4者4様の視点で語られているので、受け止め方の違いがよく分かり、不満はあるものの、幸せだと思える結末でよかったです。凪子さんにエールを贈りたい。2016/03/12
chichichi
74
1行目から考えさせられました。アラサーからアラフォー世代の3姉妹とその母が、自分の現状について葛藤している問題がリアルで、その年代その立場ですごく共感できるのではと思いました。私は次女三女に共感部分あり。世の中にはこれが普通、そうするのが当たり前のような人生モデルがあるのは否めないけど、それに沿ってなくても考え方・捉え方次第で幸せに生きられる。良かったので朝比奈さん追ってみようと思います。2015/05/26
も
72
征子、月子、凪子の三姉妹と母佐喜子の視点で書かれていて、それぞれの立ち位置や思いがよくわかってとても面白かった。冒頭の「本当に欲しいものは手に入らない。それが人生なんです」が効いてます。それぞれが少しずつ欲しいものを手放して暮らしている。でも本当に欲しいもの、本当のしあわせって何だろうって考えました。最後の「月子ちゃんへ」でボロ泣きしちゃいました。2016/04/14
なゆ
69
三姉妹とその母、4人の女性の様々な生き方とそれぞれのこれからの幸せについて。姉妹でもわざわざ言わない事や秘密はあるし、両親の夫婦の形を見ていて結婚観もさまざま。長女は独身で仕事に生き、次女は子育てそっちのけでブログに熱中、三女は新婚さんなんだけど実は…で、母は熟年離婚の危機。言葉にすると簡単だけど、それまでの心の揺らぎやそこからの心の変化の様子に、たびたび視界がぼやけてしまう。〝欲しいものを求めているばかりでは、ここにある私のしあわせはこぼれていってしまう〟ラストの月子ちゃんへの手紙が穏やかに締めくくる。2014/03/01
-
- 和書
- ひみつのたからもの