内容説明
彼女は正しい立派な恋愛をしなければならない。しかし、その相手はおれで有り得ようか。著者唯一の未発表小説原稿、遂に単行本化。
著者等紹介
大西巨人[オオニシキョジン]
小説家、批評家。1919年、福岡市生まれ。九州帝国大学法文学部中退。毎日新聞西部本社勤務を経て、対馬要塞重砲兵聯隊の一員として敗戦を迎える。戦後、福岡で雑誌「文化展望」の編集に携わり、「近代文学」第二次同人となる。48年、『精神の氷点』『白日の序曲』を発表。52年に上京。以後幅広い創作活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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susu
2
戦後間もなく様々な雑誌が発刊されたが、第一部「笑熱地獄」では、それら諸雑誌とそこに集った文学者がパロディで描かれており、「微苦笑」を誘われる。また、第二部「無間地獄」では『神聖喜劇』「運命の章」に結実するような、酷薄でありながらも余情を残す男女関係が描かれる。自他に厳しく批判の矛先を向けるこの作者の文章を読むと、いやでも自らの放つ俗臭が気になってしまう。2009/05/26
レフラー
1
自己すらも唾棄すべき対象として捉えるものもまた自己。一見無限に続く反復運動に思えるが、無限は正しくともとどまる訳ではない。非常に面白い物語であった。2009/11/07
わゆ
0
カバーが外れた状態の表紙の絵に惹かれて借りたものの、読むのがつらくてならなかった。いい年をした大人の男が自分の欲望のままにいたいけな少女を振り回すのがどうしても許せない。2010/02/10