感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
じいじ
21
侘しく、せつなく、時に哀しく、そして甘美な夢に胸を膨らませる、中年男性の恋心を描いた短編集。告白を躊躇う男の心情がよく描けている「真珠の便り」。46歳独身暮らしの男が、叔父の計らいで気乗りしないまま会った、38歳の未婚女性に一目惚れ。男の純情な恋心が、しみじみとした読み心地の「秋日和」。どれも味わい深さのある作品である。また、ここに登場する女性は、どこか奥ゆかしく、恥じらいがあり、艶があり魅力的だ。地味な作家だが、ぜひお読みいただきたい、お薦めの一冊である。2014/11/01
伊之助
12
おおよそ男女の恋情を綴った10の短編集。淡々とした文体は嫌いではない。だけど、色恋沙汰を直截に描く物語は、今の私にはちょっと楽しめないようだ。2014/11/19
青豆
12
仕事に情熱を傾けていた男性達が人生の半ばを過ぎて急に手にした自由な時間を持て余していた時に、ふとしたきっかけでめぐり会った儚くて淡い恋模様を描いた短編集。女性との年齢差や社会的立場という現実に煩悶する中高年の男性心理が巧く描かれている。若さを失っても、恋に情熱を傾ける姿は、木々が紅や黄金色に色付く様であり、女性達の存在は厳しい冬を迎える前の小春日和の様に穏やかで暖かい。それら全てを巧く表している「秋日和」というタイトルが秀逸。2014/10/13
あらた
0
大人の恋は甘味よりも苦味。私みたいな若造には到底できない恋愛のかたち。相手の日々を考え自重する姿はもどかしく見え、いざ踏み込んでみても・・・。それでも、しみじみと読んだ後は爽やかさを感じた。再読する際にはカンパリ・ソーダを飲んでいたい。2015/06/23
ゆかめろり
0
中年を過ぎた男性の淡い恋物語集です。女性の私から見ると何だかジジムサク感じました。