内容説明
埼玉県の大家族で育った日村天使は、生活保護を受け自堕落な生活を送ってきた。大家族ファミリーとしてテレビにも出ていたが、16歳で家を出て、大宮のキャバクラ「マヤカシ」に勤める。そこでビルのオーナー綾小路光子と知り合った。数年後、訳あり老人が長逗留する古びたビジネスホテルにひっそりと暮らす光子と再会する。天使は、投資家だという光子の指南で、生きるノウハウを学ぶことになるが…。
著者等紹介
原田ひ香[ハラダヒカ]
1970年神奈川県生まれ。2005年「リトルプリンセス2号」でNHK創作ラジオドラマ大賞受賞。2007年「はじまらないティータイム」ですばる文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
506
原田 ひ香は、新作中心に読んでいる作家です。タイトルから想像していた内容と異なりましたが、老人ホテル大家族親子三代生活保護資産形成運用指南小説の秀作でした。今年のBEST20候補です。小説の舞台が、地元大宮のビジネスホテルだとは、思いませんでした(笑) https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/97843349149292022/11/27
ノンケ女医長
397
表紙イラストの女性には、羽が描かれている。作品を読めば、その理由はすぐに分かる。分からないのは、彼女の両親だ。子どもたちに、いったい何を想って名付けたのか。愛情を注いだ養育を何もしないのに、テレビで話題となった。幼いころから家庭での様子を動画記録され、世間に公開され続けた子どもたちの深刻な辛さ。娘の自宅を突き止めた母親の行動(262頁)に、唖然とした。子どもは親を選べない。祖父母以上に年の離れた先輩たちから、生きる術を教わり成長していく主人公がとても良かった。あらゆる年代が、いろんな気づきをもらえる小説。2023/01/08
旅するランナー
334
日村天使(24)の投資日記。になるまでが結構長い。老人ホーム化しているホテルの部屋の清掃を受け持つ彼女の行動と、ビッグダディ家庭で育った彼女の生い立ちが交差していきます。「3つの主題が楽しめて面白いよね」「いやいや、そんなに欲張らなくてもイイんじゃない」っと僕の耳元で天使と悪魔が囁くのでした。2023/03/23
とろとろ
298
ホテルで暮らす老人がいて、その清掃業務にアルバイトとして雇われた若い主人公が、その老人達に助けられながら成長していくという物語なのかしら。などと通り一遍で説明できる話ではあるが、そこにいたるまでの紆余曲折が面白い。老人から金銭的自立と自活する手ほどきを受けて、人生の底にいた主人公が見事に立ち直っていく…。著者は、さすが「三千円の使いかた」の著者である。シビアなお金儲けのコツと特に終盤の活劇とも思えるような老人達の張り切りようにはドキドキ、ハラハラさせられる。途中から目が離せなくなって、結局一気読み。2023/03/02
Karl Heintz Schneider
283
表紙絵の人物に羽が生えていたり「天使」という主人公の名前からファンタジーかと思っていたら普通の女子で名前はキラキラネーム。「三千円の使いかた」「彼女の家計簿」「財布は踊る」これらに続き、財テクがメインテーマ。正直またかと思ってしまった。ここ最近の原田ひ香さんの文章にはキレがないように感じる。好みの問題かもしれないが「一橋桐子」「三人屋」「ランチ酒」このあたりの時の方が、のびのび書いていたように感じる。彼女は本当に自分の書きたいものを書いているのだろうか。二匹目、三匹目のどじょう狙いのような気もするのだが。2023/02/08