出版社内容情報
加賀美雅之[カガミ マサユキ]
著・文・その他
内容説明
2002年、『双月城の惨劇』で長編デビュー。該博な知識と驚きに満ちたトリック設計、ゴシック・ミステリの香気をたたえた筆致で独自の地位を築いた。デビュー20周年に際して、未収録だった中短編をすべて収載する。
著者等紹介
加賀美雅之[カガミマサユキ]
1959年、千葉県出身。1999年、「我が友アンリ」が『本格推理14』に初掲載。2002年、光文社の新人発掘プロジェクト「Kappa‐One」に『双月城の惨劇』が選ばれ、長編デビュー。著作に『監獄島』『風果つる館の殺人』『縛り首の塔の館 シャルル・ベルトランの事件簿』がある。2013年、死去。2022年、デビュー20周年に際して、単著未収録作品が一冊にまとまった。なお、長谷川順子氏との連名の作品については、生前、著者が「執筆自体は加賀美単独で行っている」旨、各所で発言しているため、本書収録にあたって単独作の扱いとした(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うみ
18
なんと初めましてなのですよ! 加賀美作品。まったくもって歯噛みする思い。この本があまりに面白くて他作品を読みたいと渇望しても手に入ることはない……再版熱烈に希望します。本当に素晴らしい不可能犯罪の群れ。片仮名の名前が苦手な自分がその困難を乗り越えて(?)、時のたつのを忘れて一心不乱に読んだのですよ!! しかもただの片仮名名前じゃありません。耳に馴染みのないロシア名前なのです。さらに自分は歴史に疎いのですが、その困難を乗り越え(以下略)。……本当に再版してくれないかなあ。超読みたい。2023/01/08
だるま
18
50代の若さで早逝された著者の作品集。「未収録」というのは、個人名義の本には入っていないの意味で、全10編中7編は既にアンソロジーに収録されている作品。だから既読の作品ばかりだったが、素晴らしい装丁のハードカバーで出してくれた事に感謝したい。発表した全ての長短編が不可能犯罪物という徹底ぶりで、私は大好きな著者だった。この作品集も密室殺人がこれでもかと出てくる。密室のトリックは殆どオリジナルで、既存のトリックもあるが、必ずアレンジしてありそのまま使っていないのが凄い。傑作揃い。早過ぎる死を本当に残念に思う。2022/11/17
コチ吉
12
カーを敬愛し、その系譜に連なる日本人作家の最右翼とも言える加賀美氏の単行本未収録作品集。仮に新刊だとしたら紛れもない今年度本格ミステリベスト。外連味たっぷりのトリックは失われた古き良き時代の香気が漂う。そして歴史ミステリの風格を備えた「運河通りの少年」は、ラストに向いつつ震えを止めることが出来なかった。早世した氏の長編を読み直したい。2022/12/01
stobe1904
11
【珠玉の本格ミステリ短編集】短編と中編9作の不可能犯罪を題材とした本格ミステリ集。著者の作品は本格推理に掲載された当時から愛読していたが、逝去の知らせを受け、新作が読めないことがとても残念だったことを思い出しながら、この古き良き本格ミステリの優れた秀作をゆっくり味わいながら読了した。返す返すも早逝されたことが惜しまれる作家だった。★★★★★2023/03/25
やっす
7
単行本として一つに纏まるのは初めてとなる作品を集めたらしいですが、どの作品にも著者の本格ミステリ愛や先達への敬意の様なものが溢れていて何だかほっこりします。作家デビュー前の作品も多く、全ての出来が良いわけではないけれど、全編で不可能犯罪に拘り続ける姿勢がとても清々しくて好きですね。掉尾を飾る『ジェフ・マールの追想』が、長さのせいもあってか、完成度が高く一番良かった。この本を読んでいて、無性にディクスン・カーのバンコランシリーズなどが読みたくなって困った。w2024/09/23