内容説明
心臓移植経験者である南美希風と、その移植手術を執刀した恩人の娘である法医学者のエリザベス・キッドリッジ。行く先々で不可能犯罪に巻き込まれていく二人だが、愛知県のアメリカ領事私邸で起きた謎だらけの射殺事件、そして、琵琶湖のクローズドサークルで発生した二ヶ所同時の殺人事件は、今までにない危険な要素に満ち溢れていた。珍しく感情を露わに事件に挑む美希風…悲劇の連鎖を食い止める人知を超えた大胆な仮説とは!?
著者等紹介
柄刀一[ツカトウハジメ]
1959年北海道生まれ。1994年、鮎川哲也編『本格推理3』に「密室の矢」が初掲載。1998年、『3000年の密室』で長編デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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雪紫
66
「全ての不可能を除外して最後に残ったものが如何に奇妙なことであってもそれが真実となる」コナンの人魚話でも引用されたこの言葉、実際に発言された「アメリカ銃」だけじゃなく「シャム双子」にも立派に当てはまる。本家同様「シャム双子」で山火事起こすとか(双子縁者集まりまくりに何処のカレリアだと突っ込みながら)、メインキャラ命の危機とか(帯の引用よりは低い気がしたが)別の意味でも本気過ぎる!いやまあ、愛の強いオマージュであり、ロジックもきっちり凄いとこから出てるんだけど、真相がふたつともいつもよりぶっ飛んでると思う。2023/06/07
rosetta
25
★★✭☆☆好きな作家さんなのだが今作は物語にも文体にも距離を感じたままで全く読書に身が入らなかった。キャラクターの見分けがつかず、トリックも牽強付会に感じた2022/08/15
だるま
14
エラリー・クイーンの国名シリーズになぞられ書かれた柄刀版国名シリーズの第3弾。探偵・南美希風シリーズでもある。第1弾が短編集、第2弾が長編で、今回は中編2作。自分としてはこの中編の長さが一番しっくりきた。2作共、論理的な本格ミステリだったが、特に第2話の『シャム双子』はシリーズ中でも屈指の傑作だと思う。面白かった。そして、本家クイーンの作品中で使われている重要ポイント(『アメリカ銃』での銃創の角度、『シャム双子』での迫る山火事)が、こちらでも巧く組み込まれているのに感心した。クイーンへの愛着を感じる一冊。2022/08/28
いなばさくら
13
本格ミステリ中編2編。この作家さんは似たようなタイトルの作品を1冊だけ読んでるけど、その時よりも驚きのストーリー展開!いや、どちらかというと良くない驚きで、正直1編目の死因なんてそれでいいならほぼ何でもありに近いよなあと思わざるを得ません。2編目もどうしたものか、感想を述べるのも難儀なお話でした。わたしの読解力の問題なんでしょうが、どうも納得感も説得力も薄くてあまり読後感の良くないものでした。2024/09/03
コチ吉
10
クイーンのアメリカ銃もシャム双子も、昔の訳で幼い頃に読んだきりなので、朧げながらの記憶しかなく、本作が本歌取りとしてどのように意図されどこまで成功しているのか、正直なところよく分からない。事件には、あり得ないような偶然や論理で説明できない現象が見られるが、あくまで作品を成り立たせるための手段であって、なによりその先の展開に十分な説得力を持たせているため、不自然と感じない。クイーンの両作は新約で読まねば。2022/08/09