出版社内容情報
一人の少女が成長する姿、様々な料理の調理場面が登場するレシピ的魅力。出会いと別れのドラマが魅力の「歴史グルメ絵巻」。
内容説明
関ヶ原前夜。東西勢力の境目に位置する越前もまた、混乱のさなかにあった。山深い田舎で育った十三歳の於くらは、越前府中城の炊飯場で下女働きを始める。ある晩、一人夜中まで働く於くらのもとに、城仕えと思しき初老の男がつまみ食いをしにやって来る。於くらの作った夜食を美味そうに頬張るその男は、なんと城主・堀尾吉晴だった。吉晴に料理の才を見出された於くらは、持ち前の機転と思いやりで、天下人の心までをも動かしていく―。越前の田舎娘から、城の台所衆へ。料理の才に恵まれた少女・於くらが、戦乱の世に出会いと別れを繰り返しながら成長していく時代グルメ絵巻!
著者等紹介
武川佑[タケカワユウ]
1981年、神奈川県生まれ。立教大学文学研究科博士課程前期課程(ドイツ文学専攻)修了。書店員、専門紙記者を経て、2016年「鬼惑い」で第1回「決戦!小説大賞」奨励賞を受賞。’17年、甲斐武田氏を描いた書下ろし長編『虎の牙』でデビュー。同作は第7回歴史時代作家クラブ新人賞を受賞。’21年『千里をゆけ くじ引き将軍と隻腕女』で、第10回日本歴史時代作家協会賞作品賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とん大西
110
人情です。青春です。於くらの健気な頑張りは正にスポ根的戦国お料理小説です。この少女マンガの王道のような予定調和…好みはわかれるかもしれないですが、安心感のあるエンタメに仕上がってて楽しく読めました。越前府中城の台所で下働きに勤しむ於くら。おやき、カステラ、里芋田楽…秘めた料理の才が城主の心をとらえ、戦場の兵どもを癒す。握り飯、天ぷら、空也豆腐…結城秀康や徳川家康の堅い面差しが解かれていく。全ては於くらの心に寄り添う料理から。堀尾吉晴のココロ配りがじんときます。2022/01/09
さつき
71
慶長五年から十一年の越前を舞台にした作品。お仕事小説でもあり、少女の成長物語という面もあり楽しく読みました。主人公の於くらは農家の出ながら料理の才を認められお城で働いています。仕える殿様は、最初は堀尾吉晴、次は結城秀康。タイトルにある「かすてぼうろ」や里芋田楽、越前蕎麦など登場するお料理はどれも美味しそう。今のように輸送手段もなく、便利家電もない時代、調理はずっと手間がかかり大変な事だったでしょう。どんな時でも食べる相手を思いやる於くらの姿勢を見習いたいと思いました。2023/02/26
けいぴ
49
越前の雪深い地に生まれ、府中城の炊飯場で下女働きを始めた於くら。『炊飯は人に寄り添うものであれ』という主君堀尾吉晴の教えを胸に、包丁役になるまでに成長していく。於くらのつくるカステラ、里芋田楽、越前そば、どれも素朴でおいしそう。「物を食ってようやく、生きているのだという心地がする」戦国の世でも令和の時代もそれは同じ。命に感謝して頂こう。2022/04/29
ヒデミン@もも
39
武川佑さん初読み。戦国時代末期の越前が舞台の歴史エンタメ。美味しいものがたくさんでてくるので、夜中に読むには辛かった。とんとん拍子に話しは進むので小説とはいえ、ちょっと真実味が欲しいかな。2022/03/27
信兵衛
25
於くらが課題を与えられる度に工夫を巡らし料理人として成長していくストーリィに、当時の料理に関する歴史考証の一文が挿入されていることを合わせて、料理ストーリィ好きな人間としては楽しい限りです。2022/01/11