出版社内容情報
三津田信三書き下ろしの怪異譚『おはしさま』を起点に、香港・台湾の気鋭のホラー作家が物語を連鎖させた異色の恐怖リレー小説。
内容説明
恐怖小説の匠・三津田信三が描いた怪異が、海を越え、伝染し、やがて驚愕の真相に辿り着く。日本、台湾、香港を繋ぐ不気味な儀式。宿願が成就するそのとき、何が奪われるのか…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
92
「箸(はし)」をテーマに日本、香港、台湾のホラー作家が連作短編を書く。5編▽[おはしさま]小学5年の時転校生が給食のご飯に箸を突き立てて食べるおまじないをしていた。真似すると夢の中で8人が死んでいく[珊瑚の骨]好きな人の箸を盗む[呪網(ザウモン)の魚]都市伝説を作り広める実験。信じた中学生が死に呪いが還ってくる[鰐(わに)の夢]台湾の因習「娘婦仔(シーフーズ)」と風俗嬢、ダムに沈んだ小学校で起こった5年生行方不明事件[魯魚亥豕(ろぎょがいし)]箸を探すSFファンタジー▽鰐の夢からが本編。漢字濃い。2023/08/10
keroppi
84
日本、台湾、香港の作家たちが「呪いの箸」をテーマにリレーする。それぞれ独立した短編かと思いきや、微妙に繋がりながら、最終章では大団円を迎える。「連鎖する怪談」という割には怖くはない。最後に至っては、「ウルトラマン」か「妖怪大戦争」か。こういうまとめ方をする陳浩基はやっぱ好きだ。アジア人作家たちが描く「箸」を読みながら、アジア人にとっての「箸」は、生命を繋ぐものであり、死とも隣り合わせで、家という空間や時間の流れの中に存在しているものなのだなと思った。2022/07/15
yukision
65
「連鎖する怪談」とのサブタイトルの通り,三津田さんの『おはしさま』から,台湾,香港の作家さん達がリレーで物語を繋いでいく異色の小説。中華系の漢字名が難しく,最初はややてこずったが,慣れていくうちに物語に引き込まれた。個人的には第四章の『鰐の夢』で終わっても良かったほど第四章が良かったが,どの話もそれぞれ異なる作家さんの手によるのに,前の話のエピソードをうまく生かしながら繋がっていくところは流石。怪談というよりもミステリー色が強い。2021/11/02
sin
63
三津田信三・ 願う儀式に依って夢の中で亡くなってゆく子供たち、果たして訪れる存在の正体や如何に、自作を仄めかす結末の真相は…薜西斯・道士を訪れた女性は若き日の悔恨を語る。語りと回想は交差して彼女の求めた許しが導かれる。夜透紫・捏造された都市伝説が悲劇を呼ぶ正当的ミステリーの行方は新たな都市伝説の誕生へと繋がる。瀟湘神・娼婦の独白、売られた少女、不当に扱われる女性たち…物語の収束?陳浩基・終幕から始まる。伝奇的な拡がり、明かされる真相、まさかの“ウルトラマン” ある種SF的な着地だが見事な幕引きだと感じた。2022/07/10
鷺@みんさー
29
…ううう~ん。どうも、香港・台湾の作品は合わないのかなぁ。でも陳浩基の『13・67』は凄く面白く読んだんだが。訳にも寄るのだろうし、まぁ色々考えられるが、素直な感想としては普通に三津田氏の『おはしさま』だけで純粋に終わってたら良かったなあと。なんかでこう、中華作家の作品はいちいち会話やストーリーが回りくどいんだとか、思ってしまう。そもリレー形式にしなくても良かったんじゃ。力業で繋げた手腕には感心するが、オチをそこに持ってかれるとなぁ…興醒めっつーか。とにかく疲れた。期待したのになぁ。2022/08/26