出版社内容情報
評論家から激賞された「ちびまんとジャンボ」のほか、「ディティクティブ・オーバードーズ」など、「食べる」をテーマに紡ぐ5編。
内容説明
鬼才が腕を振るう、5つの美味しい本格ミステリー。嫌悪か、恐怖か、悦楽か―脳を揺さぶる白井智之ワールド!満腹になると推理が冴え渡る探偵アレックスが、ある日突然、母親とともに姿を消した。3カ月後、アレックスの元助手で小説家のティムは、パブでギャングの親玉ホルヘを見かける。かつてアレックスとティムは、アフリカでホルヘの怒りを買い、九死に一生を得ていた。アレックスを攫ったのはホルヘなのか?(「グルメ探偵が消えた」)「フナムシ食い王決定戦」の最中に死亡した、アイドル系フードファイター・ちびまん。フナムシを入れたバケツの中に、毒が仕込んであったらしい。司会者の肉汁すすむは真相究明のために奔走するが…。(「ちびまんとジャンボ」)奇想天外な設定と、超絶技巧の論理が炸裂!
著者等紹介
白井智之[シライトモユキ]
1990年、千葉県印西市生まれ。東北大学法学部卒業。第34回横溝正史ミステリ大賞の最終候補作『人間の顔は食べづらい』で、2014年にデビュー。’15年に刊行した『東京結合人間』が第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)候補、’16年に刊行した『おやすみ人面瘡』が第17回本格ミステリ大賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
196
白井 智之は、新作中心に読んでいる作家です。著者らしいエロ・グロ短編集、オススメは、『げろがげり、げりがげ』&『隣の部屋の女』です。 https://honsuki.jp/pickup/46919.html 【読メエロ部】2021/07/03
みっちゃん
152
まあ、よくも次から次へと。摂食、摂取に関わるってのに、どこまでもゲロゲログログロ(ゲの後のロがリに変わることもあり)満載の設定。そこにぶちこまれる全くもって怜悧な本格推理。最終話の中編は鳥肌ものだった。2021/09/22
buchipanda3
130
相変わらずの異色本格ミステリ短編集。光文社は著者にもう自分の思う通りに何でも書いちゃって下さいとか言っているのではないかと思わせるウゲゲな中身だった。ただやっぱりロジカルな推理展開は流石で、アンモラルさとシニカルなもの哀しさと相まって他では味わえない特異な味に昇華されている。誰にでもおススメはできないけど。「げろがげり…」は想像力をオフにするのが吉。特殊設定の用い方はらしさ一杯で合点。「ちびまん…」は既読だったが記憶を拒否していたので新鮮に読めた。「ディティクティブ…」はあの特殊推理合戦から圧巻の帰結。2021/06/02
keroppi
85
「オーバードーズ」って何だろうと思って調べてみたら、「薬物の大量摂取のことで、自傷行為のひとつ」だそうだ。白井智之さんの小説には、まさにそんな危険な匂いがする。薬物依存症になってしまいそうな異常さ。ぶっ飛んだ設定にグロな世界観と論理的な謎解きが妙にマッチして、癖になってしまう。こんな世界に慣れてしまっちゃダメだと思いながら、さらに過激な世界を期待している自分がいる。「シライ・オーバードーズ」だななんて思ってしまう。2021/08/11
aquamarine
84
ミステリの過剰摂取?致死量の謎?過剰摂取上等!と思いつつ読み始めたが、グロくてもさすが白井作品、ロジックしっかり♪と思ったのは一話目だけ。エログロに相当強いはずの私でも、2話目以降のゲテ物食いと嘔吐には申し訳ないがミステリの楽しみよりも嫌悪感が勝ってしまい、かなり苦痛な読書となった(それでも読むのだが)。最終話の「ディティクティブ・オーバードーズ」が期待以上のロジックで一番好み。だが一筋縄でいかないので理解するために何度か読み返し…読後はヘロヘロ。勿論さすがの白井作品なのだが、今回は私には過剰だった。2021/09/20