出版社内容情報
細胞の変異により全身が透明になってしまう恐ろしい病、「透明人間病」が蔓延する近未来を舞台にした、超特殊設定の本格推理短編集。
内容説明
透明人間による不可能犯罪計画。裁判員裁判×アイドルオタクの法廷ミステリ。録音された犯行現場の謎。クルーズ船内、イベントが進行する中での拉致監禁―。絢爛多彩、高密度。ミステリの快楽を詰め込んだ傑作集!
著者等紹介
阿津川辰海[アツカワタツミ]
1994年、東京都生まれ。東京大学卒。2017年、『名探偵は嘘をつかない』が、光文社の新人発掘プロジェクト「カッパ・ツー」に選ばれ、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
445
「本格ミステリ・ベスト10」第1位、「このミステリーがすごい!」第2位、「週刊文春ミステリーベスト10」第2位、 「ミステリが読みたい!」第3位ということで読みました。阿津川 辰海、初読です。バラエティに富んだ短編集、どの作品も面白いですが、オススメは、表題作『透明人間は密室に潜む』&ウリャオイ!『六人の熱狂する日本人』です。個人的には、三冠の『たかが殺人じゃないか』よりも本作を推します。次は、長編を読みます。 https://www.bookbang.jp/review/article/6207722021/01/11
パトラッシュ
346
透明人間にドルヲタ、超聴力やリアル脱出ゲームなど奇想と呼ぶべきアイデアに、本格ミステリのフェアな謎解きを絡ませたのは世界初か。どれも「そんなのありか」と思わせながら納得させられてしまう設定の巧さと伏線の配置と回収が光り、ブラウン神父物を思わせる佳品揃い。この作者の長編はクイーンへのリスペクト過剰で今ひとつノリが悪かったため、余計な装飾やこだわりをそぎ落とした中短篇でこそ本領が発揮されるのでは。設定のユニークさ故に共通の名探偵は存在しにくいが、今後もこの方向を進めばトリックの名人と呼ばれる日が来ると思える。2022/01/07
kou
307
4つのミステリー短編集だが、どれも設定が面白く読み応えがあった。特に2作目の「六人の熱狂する日本人」が面白かった。ドルオタ×法廷・・・こんな偏った知識で真実に近づいていくとは(笑)。「ウリャオイ!」を生で聞いてみたい(笑)。この設定で、もう一本読んでみたい!2020/07/03
刃の下に心あり
208
★4つ。4つの短編どれもが違った趣でそれぞれ面白かったです♪謎解き、犯人当て等の本格要素が土台となっており、ミステリファンにはたまらない1冊かと思います。中でも「六人の熱狂する日本人」が笑わせていただいて特に印象的です☺あと、透明人間も何かと不便なんだなぁ~と初めて思いました(笑)2020/12/31
しんたろー
206
阿津川辰海さん初読み。SF+倒叙ものの表題作、数々の名作映画がある評議もの+アイドルオタクの『六人の熱狂する日本人』、特殊能力+犯人当ての『盗聴された殺人』、脱出ゲーム+船上ものの『13号室からの脱出』…様々なタイプのミステリを掛け合わせた一編が60~90ページ程の中編が4つの作品集で、どれもが遊び心満載な上、良く出来たトリックと笑える会話で面白かった。「読者を楽しませよう」という著者の心意気が伝わってくるのも嬉しい。「ミステリは詳しくないし、本格ものは敷居が高い」と思っている人にも気軽に楽しめる良作♬2021/10/10