内容説明
土の匂い、太陽の光、作物が繋ぐ人との絆。いいじゃない、農業。全国各地のさまざまな年代の農業に関わる女性を描いた八つの短編集。
著者等紹介
瀧羽麻子[タキワアサコ]
1981年兵庫県生まれ。京都大学卒業。2007年『うさぎパン』で第2回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞し、デビュー。’19年『たまねぎとはちみつ』で第66回産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おしゃべりメガネ
230
全国各地の野菜名産をとりあげ、農業にかかわる様々な年代の女性達のあらゆる想いや悩みをゆったりと綴るステキな'お野菜'作品でした。群馬のレタス、岡山の茄子、北海道の馬鈴薯、長崎のアスパラ、和歌山の檸檬、岩手のチーズ、香川のオリーブ、石川のトマトと全8品(編)で構成され、どの作品も扱われている食材同様に味わい深いお話でした。農業に携わる人々、そして女性達の前向きで明るさを失わない元気な姿に勇気をもらえました。何度も何度も読み返したくなるステキな作品に巡り会えたコトに感謝です。瀧羽さん、ステキなお話でした。2020/04/28
ウッディ
218
SEを辞めてレタス農家で働き始めたが、母に転職を伝えられない「夜明けのレタス」を始めとして、農業で働く女性を主人公にした8編の短編集。苦労しながらも、大自然の中で汗を流し、自分の作る野菜や果物に誇りを持って働く主人公たちが生き生きとしていて、どの作物も美味しそうです。窮屈な田舎の人間関係や不便さを差し引いても、美しい自然の中の生活には憧れます。それぞれの物語がどうつながるのかと思っていたところ、最後の「トマトの約束」で全ての食材が勢ぞろいし、飛びきりのサラダができるという構成も面白かったです。2020/08/19
けんとまん1007
209
タイトルのサラダを代表とする、8つの農業をめぐる物語集。どの素材も、それぞれ素晴らしい味わいを醸し出している。人は、美味しいものを食べと、それだけでホッコリとすると思う。自分も自家菜園で、いろいろな野菜を作っているので、野菜作りへの想いは大きなものがある。自分で作ったものを、家族や知人が食べるということ、それ自体、嬉しいことでもある。そんなことを感じながら読んだ。2020/07/14
mint☆
194
農業に関わる女性たちを描いた8つの短編集。それぞれの独立した話だけど最後は綺麗にサラダでまとまる。「オリーブの木の下で」とラスト「トマトの約束」が特にお気に入り。普段何気なく口にしている野菜たちだけどちゃんと味わって食べよう。こうやって自分のところまで来てくれて改めてすごいなって思う。なんというか、好き。この本。2021/04/19
モルク
169
農業に関わる女子を主人公とする8話の短編集。悩み、生きづらさをもっている全国各地の農業女子。彼女たちはそれぞれに前向きでこの先に光があるのが感じられる。ひとつひとつ独立した話であるが、最終話の「トマトの約束」のサラダの部分で繋がってくる。レタスのシャキシャキ感、トマトの甘みが伝わってくる。2021/05/19