内容説明
孤島の児童養護施設に入所している男子中学生の網走一人。ある夜、島の外に出た職員たちが嵐で戻れず、施設内が子どもたちだけになった。網走は、悪質ないじめを繰り返していた剛竜寺の部屋に忍び込む。許せない罪を犯した剛竜寺を、この手で殺すためだ。しかし剛竜寺はすでに殺されていた。その姿を見て震え上がる網走。死体は、片目を抉られて持ち去られ、代わりに金柑が押し込まれていたのだ。その後もまるで人殺し自体を楽しんでいるかのような猟奇殺人が相次ぐ。「この島に恐ろしい殺人鬼がいる」―網走はその正体を推理しながら、自らも殺人計画を遂行していくが…。
著者等紹介
早坂吝[ハヤサカヤブサカ]
1988年、大阪府生まれ。京都大学文学部卒業。京都大学推理小説研究会出身。2014年に『○○○○○○○○殺人事件』で第50回メフィスト賞を受賞し、デビュー。同作で「ミステリが読みたい!2015年版」新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
410
著者ならではな雰囲気の一冊。金柑などの面白いギミックを盛り込んで、序盤はクローズドサークル"らしさ"でツカミを得つつ、ラスト20ページくらいで、実は微妙に焦点をはぐらかされていたことに気づく。仕掛けの細かさの割には、頁数も少なく読み味軽めなのも、この作者の個性。ただ今回はかなり露骨で、あまり上手に溶け込ませることが出来ていないようにも。毎度、キャラクターが極端に戯画化されていることもあって、どの作品にも同じ人物ばかり登場しているように、ここ何作かは感じる。網走や探沢、足原あたりは特に既視感が強い。2019/06/08
麦ちゃんの下僕
204
方丈貴恵さんの傑作『孤島の来訪者』と同様の「孤島のクローズドサークル」「狙っていた獲物を横取りされたパターン」から、果たして“奇才”早坂吝さんはどう展開させるのか!?と興味津々で読み始めましたが…やっぱり早坂さんはスゴい!(笑) 実を言うと、この作品のキーワードである「○○○○」には早々に気付き、従って△△の繋がりなど真相の大半は気付いたつもりで余裕をかまして読んでいたんですが…完全に騙されました(笑) そっか~そっちだったのか…あぁ悔しい!まぁでも終わり方が綺麗(!?)ですので、清々しい読後感ですね♪︎2021/02/21
しんたろー
189
『らいちシリーズ』以外の早坂さん初。嵐の孤島で連続殺人という「お約束のクローズドサークル」に著者らしい仕掛け…洋館の見取り図、特徴的な名前、叙述トリックなど…本格ものの形式を逆手に取って「お得意のバカミス」をアチコチに散りばめて楽しませてくれた。『らいち』のようなエロがない分だけ少々物足りなかったが、論理遊びや細かい伏線は充分に面白く、230ページ程なのでサクッと読めるのも良かった。「殺人が安易すぎる」と真面目な人は怒るだろうが「推理小説だから」と割り切ってパズル感覚で楽しめる人には勧めたいエンタメ作品。2020/01/27
ままこ
110
孤島の児童養護施設で起きた連続殺人事件。様々なトラウマを持つ子供達。奇抜な設定も伏線として上手く組み込まれていた。クルッと反転。見事にしてやられたブラックミステリ。タイトルに納得。面白かった。2020/01/19
あも
101
曲がりなりにも孤島&連続殺人という舞台を与えられた長編作品でこのオチ…!早坂さんじゃなきゃ、許さねえかんな笑。と読了後に笑う。つまりはまんまと満足させられちゃったやつ。種々の問題を抱えた小中学生が暮らす矯正施設。大人不在の千載一遇のチャンスの夜、主人公は標的の部屋を訪れる。すると彼は既に死体…。主人公も殺人者だが、もう一人誰かがいる。まさにタイトルの示す面白みはあるが、オールガキンチョによるゴタゴタにテンションは上がりきらず。と思ったところで、あの結末。雑&過剰に見えたアレも全部意味があったのね。参った。2019/10/03
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