内容説明
織田家中において、決して欠かせぬ者という意で「米」にたとえられた、「米五郎左」こと丹羽長秀。その右筆・太田牛一は、長秀の記を秘かに残そうとする。本能寺の変で長秀は、窮地に立たされていた。明智光秀を討つのに最も有利な位置にいながら、軍を動かすことはおろか、行動を共にする信長の息子・信孝が光秀の娘婿・津田信澄を、疑心のあまりに殺害するという暴走を止められなかった。しかし、大乱の中で長秀は、亡き主君への想いと、信じるべき未来を見据え、ある秘策を立てていたのである…。男たちの熱い生き様を描いた、新鋭による戦国秘史!
著者等紹介
佐々木功[ササキコウ]
大分県大分市出身。東京郊外に育つ。早稲田大学第一文学部卒業。『乱世をゆけ 織田の徒花、滝川一益』で第9回角川春樹小説賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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如水
28
丹羽長秀の一生を描いたモノでは無く、話は本能寺の変直後から。織田家右筆(記録係だと思って下さい)で有り弓の達人で有る太田牛一が語る長秀物語。実は本能寺の変後、パッとしないんですなぁ長秀😨それでも秀吉政権下、123万石まで所領を拡げましたが、秀吉の下に着いて立身した心境コレ如何に?と言うのが話のスジです。最初は『何だ〜一生記じゃないんだ〜』とチョットがっかりしましたが、読んで行くと引き込まれます👍キーは「我らが殿は…」。コレが本当なら何て素晴らしい上司なんだ!長秀。と想わずにはいられない人物像でした😭2019/06/21
onasu
22
「信長公記」の著者太田牛一が、信長に仕えた重臣丹羽長秀を語っていくという中々におもしろい仕掛けで、何故そうさせたのか、また何故丹羽家が十万石の大名に返り咲けたのかというおまけも。 読んでみたかった人物だし、綴られたのが本能寺の変以降なので、小牧長久手の辺りまでを脇から覗いた形で、それはそれでおもしろかったのですが、織田一という割に秀吉の臣下になったようなものなので、話しとしては今ひとつ冴えない。 五郎左をおもしろく読めるのは、本能寺の変以前なんだろうけど、牛一を使いたいなら、こうするしかないのだね。2019/06/30
サケ太
21
太田牛一の視点から語られる、丹羽長秀の生き様。彼の数々の選択の謎。織田家の男として生きたその在り方。ラストで明かされるその胸中に驚く。プロローグとエピローグが繋がる。軽い読み口だからこそ、中だるみせずに最後まで読める。2019/08/27
田中峰和
10
信長に忠誠を誓った二人の武将の信頼関係を描いた物語。右筆として有能だが、武将としては三流の太田牛一は、信長亡き後、織田家武将の中で唯一信頼できる丹羽長秀に身をゆだねる。本能寺の変のあと、家康が難を逃れた「伊賀越え」を題材にした歴史ミステリー。狡猾な秀吉と直情径行の柴田勝家など、定型化した武将の性格を描きながら、表に出にくかった太田牛一と丹羽長秀の個性を浮き立たせられたのは著者の実力ゆえか。くノ一の奈津に騙される牛一の未熟さと、家康こそ信長の跡を継ぐ人物と見抜いた長秀の成熟。その対比の見事さに感銘を受けた。2019/07/18
とくま
5
〇「織田の五郎左で結構」 美しくかっこよく仕上がってます。2019/07/10