出版社内容情報
桜木紫乃[サクラギ シノ]
著・文・その他
内容説明
北海道の東の街から流れ流れて沖縄にやってきたツキヨは、那覇の路地裏にある「竜宮城」で身体を売っている。奥歯の痛みに耐えられなくなったツキヨは、客に教えてもらったもぐりの歯医者を訪ねた。元歯科医の万次郎と呼ばれる男は、同居しているヒロキという青い眼をした若者の背に、モナ・リザのタトゥーを入れているところだった。ヒロキと気が合ったツキヨは、「竜宮城」を出て万次郎たちと暮らすことにするが―。
著者等紹介
桜木紫乃[サクラギシノ]
1965年北海道生まれ。2002年「雪虫」で第82回オール讀物新人賞を受賞。’07年、同作を収録した『氷平線』でデビュー。’13年『ラブレス』で第19回島清恋愛文学賞、『ホテルローヤル』で第149回直木三十五賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
375
これまでに読んだこの人の小説は、釧路もしくはその近郊を舞台に展開していた。今回は珍しくも、その正反対の那覇であり、奥武島である。ただ、小説全体に漂ううらぶれ感は全く変わることがない。それはもう、いっそ見事なくらいである。また、主人公のツキヨが放つ、どうしょうもないような刹那的な放埒、そして他の登場人物たちの持つ怪しさ、とりわけ南原の胡散臭さ は、小説世界に限りない最果て感を齎すのである。ここでは命は軽いし、性も、そして生もまた限りなく軽い。那覇の場末の娼館は、まさに異国であるかのようだ。そんな中で⇒2025/09/06
starbro
298
桜木 紫乃は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。著者の作品の舞台の定番の北海道から、真逆の沖縄の場末の『竜宮城』での群像劇、著者の世界観は南の島でも変わりません。誰もが(猫も)死に場所を求めて流れて来るのでしょうか?タイトルも好いです。2019/03/02
いつでも母さん
212
「流された先にあるものをしっかり見なさい。全部受け入れて、すべてを赦してやんなさい」おばあのことばが痛い。北から南へ流れてどんつきで生きるツキヨ。多分どんつきは自分の心ン中にあるのだろうね。まあ、凍死しないだけ南の方がいいか・・どんより桜木さん、どこにも救いの無い話で200弱のページが重かったよ。光まで5分、そこはどこ?2019/01/14
おしゃべりメガネ
187
桜木さんらしいといえばらしい作品です。しかし、今作はちょっと中途半端感があったかなと。北海道出身の作者さんがこれまで何度も舞台にしてきた北海道ではなく、沖縄を書くというコトに最後までハマらなかったのかもしれません。桜木さんお得意?の陰鬱な感じは健在で、適度なエロスもあるのですが、話の焦点がイマイチわからず、終わってしまったかなと。桜木さんの作品(作風)に慣れている方は問題ないと思いますが、はじめて本作で桜木さんにチャレンジする方はちょっと抵抗があるかもしれません。桜木さんらしさは十分に伝わる作品でした。2019/02/25
ナイスネイチャ
156
図書館本。舞台は北海道ではなく沖縄だが重苦しい閉塞感は変わらず。光りを求めて流されながらも生きていく。光りの速さではなく自分の歩幅で。でも死に場所を求めてた?のかもって思うと悲しい物語。2019/03/04