出版社内容情報
寺地はるな[テラチ ハルナ]
著・文・その他
内容説明
コンビを組む二人は違法カジノで働いていたが失敗ばかり。今度は偽宝石売りでも騙した女に騙され無一文に。切羽詰まったハセは商店街にたむろする老人たちを見て閃いた。これからは、年寄りだ。32歳と30歳。崖っぷち男二人。騙すのは、年寄りだ。さびしさは、利用できる。歪んだ愛を抱え、じたばたする悪党コンビ。注目作家が紡ぐ、泣けるバディ小説!!
著者等紹介
寺地はるな[テラチハルナ]
1977年佐賀県生まれ。2014年『ビオレタ』でポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
212
「正しい愛と理想の息子」という問題提起を感じさせる書名を冠したこの作品。”愛しています”という言葉に絶対正義のような感情を抱いてしまう私たちですが、そこには『愛しているからこそ、まちがってしまう』という思わぬ結果が待ち受けている可能性があることをこの作品で見せていただきました。難しいテーマを優しい筆致とハッとする言葉の数々でわかりやすく問題提起してくれるこの作品。絶妙に張り巡らせられた伏線の数々と、未来の垣間見えるさわやかな結末に、なるほどね、と感じた作品でした。2020/11/19
❁かな❁
209
32歳のハセ、30歳の沖。多額の借金を返す為、詐欺師になる。詐欺師のお話ってどうなるのかなと思ったけどやっぱり寺地さん♪親子関係、友情、関わっていく人々との交流がとても優しく温かい。何度も涙してしまった。ハセも沖も心根が優しい。ハセの父もいいところあるなぁ。温かい人が色々いるけど典子さん特に素敵!犬のわたあめちゃん可愛い♡「『お年寄り』なんていう生きものはいない。それぞれ違う心をもって、それぞれに違う長い年月を生きてきた人たちがそこにいるだけだ」寺地さんにはいつも泣かされてしまう。優しさが心に沁みる作品。2019/02/18
美紀ちゃん
204
騙して騙されて、盗まれて、殴られて、どうなってしまうのか?と思いつつ読んだが、とても温かい話だった。 どんな親も息子を大切に思っているのだと思う。 典子さんはハセのことが好きなんだろうな。 表紙のインパクトがすごい。 丹地陽子さんの絵。 ハセで、後ろが沖くんかな。 2021/06/07
モルク
174
借金返済のために最初は女性をターゲットとし、それがうまくいかないと老人に詐欺をはたらこうとするハセと沖の二人。どうしようもない二人であるが、根が悪人になりきれないためになかなかうまくいかない。何をやってもどじを踏む沖だがハセは彼が気になってしようがない。次のターゲットは沖の母親。親の期待に応えられずずっと疎遠だったが、母が痴呆と知った時彼は…。そしてハセも老人たちと接触し頼られていくうちに…愛があるなあ。思ったよりずっと暖かみのあるいい話だった。ハセの父も愛すべきヤツで存在感もある。ほっこり読後も爽快。2019/08/28
fwhd8325
173
妙にかしこまったタイトルですが、内容はとても温かく寺地さんらしい作品でした。ちょっとしたコメディのような展開ですが、一つ一つのエピソードに深い意味が込められているようです。登場人物のそれぞれの「その後」が気になります。2020/08/02
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