出版社内容情報
大塚卓嗣[オオツカ タクジ]
著・文・その他
内容説明
元亀元年(1570年)、朝倉家家臣の小林吉隆は、織田家との合戦中、富田長繁に命を救われる。世の道理を重視する吉隆だが、忠に薄く戦好きな長繁とは、不思議と馬が合った。しかし、崩壊へと向かう朝倉家に見切りをつけた長繁は、織田方へと寝返ってしまい…。歴史からかき消えた狂気の武将、富田長繁。新鋭による戦国秘史!
著者等紹介
大塚卓嗣[オオツカタクジ]
1974年、東京都生まれ。2012年、第18回歴史群像大賞に佳作入選。2013年、『天を裂く 水野勝成放浪記』でデビュー。後に『天衝水野勝成伝』(光文社文庫)と改題して刊行。それまで注目されていなかった猛将・水野勝成に光を当て、勝成ブームを巻き起こす。同著が「この時代小説がすごい!2014年版」にランクイン(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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NAO
64
【「男祭り」参加】越前狂乱、という副題に魅かれて。あまり野心家ではない朝倉義景に見切りをつけて、織田信長のように自分も自力で出世していくことができるかもしれないと考えた男・富田長繁。彼を主人公に、下剋上、強力な地盤を持つ一向宗の台頭と、ほかのどの土地よりも凄惨で濃密な越前の戦国時代が狂おしく描かれている。主人公が、少し軽すぎるきらいはあるが、あまり歴史の表舞台に出てこない故郷の歴史の裏面だけに、読んでよかったと思った。2018/06/25
佐治駿河
46
大塚先生の作品は面白い。以前「鬼手 小早川秀秋伝」を読みましたが、この時も歴史の行間を埋めるような作風で小早川秀秋を魅力的に描いていました。今作でも「富田長繁」を題材としており少しマイナーな武将であるため、読者の潜入感も少ないのではなかったでしょうか?そのため、私もこれまでは富田長繁の歴史上の時系列の流れを知っていてもなかなか人物像が思い浮かばなかったですが、この書籍で大塚先生の表現力によって富田長繁の狂人ぶりが際立ち魅力的な人物として描かれ読者を魅了していきます。そして私は一気読みしてしまいました。2025/01/24
如水
28
超マイナーな武将を通じて朝倉家滅亡前後(と言っても滅亡後がメイン)の越前国の動乱が描かれてます。話は物語の語り手、朝倉家家臣の小林吉隆が織田家との合戦中、富田長繁に命を救われる所から始まりますが、ぶっちゃけ『誰?』と言う状態。それでも越前国が柴田勝家に任される迄の空白の2年間が良く分かります。大名では無く、国人主観で話しが進む為、『何て狭い視点なんだ』と思いつつ信長が何故あんなにも越前に拘ったのが分かった作品です。それにしても信長…分かっててワザと野放しにしていたとしたら…先見性が有り過ぎる?2018/11/21
宇宙猫
28
★★★ 戦国時代、朝倉の忠臣の小林吉降の視点で、信長に寝返った富田長繁が狂ったように戦う様を描く。奪った領地を治めるのは難しいから、そんなことより戦いの刺激を求めちゃう武将もいたかもね。そう考えると、信長は天下を治める事を考えるだけの理性がちゃんとあったて事か。読みやすくて普通におもしろいけど、登場人物がデフォルメされ過ぎてるとこが好みではなかった。2018/04/17
tom
16
「傾城徳川家康」が奇妙に面白かったので、この本を読んでみることに。信長が勢力を伸ばしつつある時代、敦賀越前に勢力を持っていた朝倉家の没落、その後の混乱を背景にした戦国絵巻。主人公は富田長繁。ウイキペディアで調べたら、「越前の狂犬」というネーミングがあったらしい。とにかく殺す。歯向かう者も尻尾を振ってくるものも、殺してしまう。理由は「気に入らない」のひとこと。小説にするには、なかなか面白い人物のようだし、この人物をネタにして小説にした大塚さんはたいしたもの。もっと面白い小説が書けるような感じも少々。2020/02/16
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