内容説明
居酒屋「ロミオとジュリエット」で、今夜も謎を抱えた酔っ払いが…。心を癒やす不思議な魅力のミステリー。
著者等紹介
林泰広[ハヤシヤスヒロ]
1965年生まれ。1996年に鮎川哲也によって選ばれ『本格推理8』に収録された「二隻の船」でデビュー。以後『本格推理』では「プロ達の夜会」「問う男」も選ばれ、2002年に新人発掘プロジェクト「カッパ・ワン」第一弾の一作『The unseen見えない精霊』で長編デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ダミアン4号
66
居酒屋“ロミオとジュリエット”ここでは夜な夜な店名となったシェークスピアの戯曲についての会話が交されている…戯曲に登場する人々の行動を様々な視点で分析すると今まで抱いていた物語のイメージは崩れ去り、新たな(隠れた)一面が顔を出す。杯を傾けながら…料理に舌鼓を打ちながら…その会話に耳を傾けているのは恋人の父親に手錠をかけた刑事(彼はその事を酷く後悔してる)それをどこで知ったのか…彼を(恋人の父親ですら逮捕する冷徹で)真実を追究する名探偵と信じ“一見単純だが隠された真実が…”という類の事件が持ち込まれてしまう2019/04/08
カノコ
31
居酒屋「ロミオとジュリエット」で一人酒を飲む名探偵かつ刑事の主人公の元に、酔っ払いが事件の話を持ち掛ける連作集。周囲の酔客の語る「ロミオとジュリエット」のユニークな解釈からヒントを得るという立て付け。構造は面白いし、ロミオとジュリエットの解釈も、そこから導かれる事件の真相も面白いのだが、さすがに何度も同じことを繰り返されるといささかくどい。全体的に頭でっかちな語り口も堅苦しく感じられた。事件よりも講釈に重きを置いているようで、タイトルから想像した印象とは異なった。ロミオとジュリエット好きにはおすすめかも?2019/03/23
Syo
25
好きなタイプだと思うんだけど。 しんどかった。 ロミオとジュリエット。 To be or not to be, it is a question. だっけ? その程度しか知らないのに いっぱい解釈の仕方があって。 で事件の真相が分かっていく。 んだけど。 そんなに面白くないんだよ、 ワトソン君。2018/02/25
さえ
16
安楽椅子探偵モノ、なのかな。恋人の父親を有罪にしてしまった負い目を持つ刑事が、居酒屋「ロミオとジュリエット」に集まった人たちの話を聞きながら、ロミジュリに絡めて真相を解いていく話。「ロミオとジュリエット」、あらすじくらいしか知らなかったんだけどこれを読んで新解釈を色々知り、印象がガラリと変わった。この本はそれに尽きるなぁ…。解説のような会話が多いので読み進めるのに苦労したけど、事件の真相を解き明かしていく過程、心理描写は面白かった。2018/02/18
なななな
11
軟弱に見えながらハードボイルド的な冒頭設定を読んで、期待し購入。しつこいほどの(良い意味でです)「ロミオとジュリエット」引用は、シェークスピアのセリフの多彩さが生み出せるワザ。短編連作ながら、飽きない展開で、ラスト章へのつながれ方もしゃれている感じで、楽しい読書になりました。2018/01/11