出版社内容情報
岡田秀文[オカダ ヒデフミ]
内容説明
銀座で探偵事務所“月輪萬相談所”を営む月輪龍太郎は、ひょんなことから東京帝大で犯罪捜査学講座を受け持つことに。受講生はわずか三人。真面目で気弱な原口孝介、裁判官を目指す肥崎春彦、政治家志望の松坂栄次郎。月輪は教科書などは使わず、実際に起きている未解決事件の現場に臨んで講義をするという。第一の講義は、高楼閣で突如失踪した出資者が、近くの酒蔵で遺体となって見付かった事件―明治の世に起こった四つの奇怪な事件に、帝大生と月輪の推理合戦が白熱する!『黒龍荘の惨劇』で話題をさらった“名探偵月輪シリーズ”、スピンオフ短編集。
著者等紹介
岡田秀文[オカダヒデフミ]
1963年東京生まれ。明治大学卒業。1999年「見知らぬ侍」で第21回小説推理新人賞を受賞し、2001年『本能寺六夜物語』で単行本デビュー。2002年『太閤暗殺』で第5回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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雪紫
39
名探偵月輪の犯罪捜査学教室を受講するのは帝大の男子生徒3人。少し帝大生のエリート意識がある彼らが実際の事件を推理することによっての失敗や挫折、成長を描く短編集。張り合ったり中には月輪より面白推理もあったり・・・まあ、最終的には推理の礎に、されるけどね。彼らが自発的に幽霊譚と殺人に挑む「月輪先生と異人館の怪談」が個人的にベスト。学生3人のその後を描く「余談として」にもニヤリとさせられる。2020/11/17
たち
38
月輪先生の教え子達が好きです。かつての月輪龍太郎と杉山潤之助のようで、見ていて微笑ましい。ですので、今回の話では、若い教え子達が大活躍(?)の『月輪先生と異人館の怪談』が一番面白かったです。2018/09/14
そうたそ
34
★★★☆☆ 月輪先生がひょんなことから受け持つことになった帝大での犯罪捜査学講座。受講生の三人と共に講義がてら実際の未解決事件の捜査事件に繰り出すという趣向の短編集。前作までと比べると、短編集ゆえに小粒ではあるが、その分しっかりミステリしており、史実に引っ張られ過ぎだった前作なんかと比べると断然良い。生徒三人が推理を披露し、結局最後は月輪先生がそれを踏み台にあっさり事件解決してしまうというのも面白い。誠実につくられたミステリであることは確かだが、意外性に欠ける内容であるのも確か。その点でやや物足りない。2016/11/01
就寝30分前
22
セオリーどおり中短編の探偵推理小説。事件が発生し、警察から不快に思われながらも捜査に関わり、部下(学生)が初めに推理を披露して間違って、最後に真打の探偵がさらりと事件解決。で、横には美人助手が一人。舞台は明治、伊藤博文が総理大臣だった時代。馬車が行き交い舞踏会が開かれ、ノスタルジックな世界感。…が、ちょっと薄い。大きな驚きも無いが不可もない。2017/02/26
二分五厘
18
月輪龍太郎が帝大で犯罪捜査学の講義?大丈夫か?と思ってしまう(笑)。しかしさすが先生、帝大生3人に事件の推理をさせた後、見事にひっくり返して犯人を挙げてみせるのです。ある時はN町高楼閣の見張られた密室からの消失殺人事件を。またある時は有名画家のご子息誘拐事件を。またある時は避暑地の異人館の幽霊騒ぎを。更にある時は伊藤博文公もご臨席の舞踏会で起こった射殺事件を。アノ月輪とは思えない論理展開で解決!黒龍荘事件で、お気楽民間探偵のあおりをくらって、降格されている野崎警部補があわれです。2017/04/03
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