蜜と唾

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  • サイズ B6判/ページ数 308p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784334911157
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報



盛田隆二[モリタ リュウジ]

内容説明

梶亮平、27歳。ブラック企業体験記が、初めて月刊誌に掲載された。それを見たという美帆子から四年ぶりに電話が入る。学生時代、家庭教師をしていた少年の母親だ。中学受験を前に少年は交通事故で亡くなった。後に刑事の事情聴取に応じた際、亮平は思い知る。あの一本の電話から事件に巻き込まれることになったのだと。リアリズムの名手、初の犯罪ミステリー。

著者等紹介

盛田隆二[モリタリュウジ]
1954年東京都生まれ。情報誌「ぴあ」編集者の傍ら小説を執筆し、85年早稲田文学新人賞入選。90年『ストリート・チルドレン』が野間文芸新人賞候補作、92年『サウダージ』が三島由紀夫賞候補作となる。96年から作家専業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

🐾Yoko Omoto🐾

154
男の庇護欲を刺激して止まないような一人の女性に、独占欲や嫉妬、憧憬などの強い思いを抱かされながら翻弄される男たちの愚かさに、冷笑にも似た溜め息が漏れる物語だった。タイトルの「蜜と唾」は「罪と罰」の裏返しであると同時に、甘い蜜だと思っていたものが、実は誰かが吐いた汚ない唾だったという皮肉とも取れる。自身のパートナーとの問題を、他の男に頼ることで解決を見出だそうとする彼女は、ただ本能のままに純粋なだけなのか、将又強かで打算的なのか。そして彼女が本当に望んでいたものは何だったのか。何とも不思議な余韻が残る。2017/01/09

じいじ

100
 大好きな盛田隆二の「初の犯罪ミステリー」に興味を抱いて読み始めた。物語の立ち上がりは、いつもの盛田テースト。中盤に入ってミステリー・タッチでワクワク感を醸し出して俄然面白くなってきた。登場人物に温かみがあって、その会話が心地いいのはいつもの盛田小説の味わいだ。主人公の亮平青年に絡む二人の女のひた向きさ、強かさが印象的だ。とりわけ40歳の美帆子が神秘的で結構惹かれる。私の苦手なDVがらみの箇所もあるが、全体を通しては盛田さんらしい作品で満足裡で読了した。2016/11/18

ちょき

59
ストーリーはさほど驚きも機転もないのだが、人の怖さというものをずっしりと感じる。美貌を持って生まれるということは果たして本当に幸せなのだろうか?本人が望むでもなく周囲の男たちに翻弄され、自らの人生を貶めていく。暴力、浮気、嫉妬。そんな感情は私には不要だが、そういうところに一度入り込んでしまうと簡単には抜け出せないのかも知れない。なかなか読ませる作品。2016/11/18

ミーコ

58
久々の盛田さん 期待して読んだのですが・・・。なんか物足りない様なー。 美帆子にイライラしっぱなし。ストレスが募りました。魔女の女?にしては中途半端だし…。 息子を事故で亡くした母親なら、もっと打ちひしがれてると思うのに何故か悲しさが伝わって来ない。男を手玉に取るにも詰めが甘いと思うし 波多野も不動産会社の社長なら、もっと慎重であろうと思う。いくら美人でもねぇ。違和感を感じる作品であったように思います。2016/12/06

Yunemo

47
何だかタイトルに騙されて。犯罪ミステリーというけれど、ちょっとね。ただ男女のやるせなく切ない感情の表現は、本作でも如何なく表現されています。どちらかというと、美を持つ悪女を表現するとこんな作品に。ただ悪女としての人間性を強く表現せぬままに、罪と罰がおぼろげなままに、最終まで、物足りなさだけが残って。垣間見える男女の機微の表現には、いつも通りの納得感。やっぱり盛田ワールドが込められてます。ミステリーとしてではなく、ここに嵌り込む要素があって、やっぱりいいね、との読後感。著者の意図とズレてるかもしれませんが。2016/09/17

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