鯨分限

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  • サイズ B6判/ページ数 394p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784334910518
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

紀州・太地の捕鯨集団「太地鯨組」の若き棟梁、太地覚吾。斜陽の村を救うべく、日本全国を駆け巡る。だが、維新により根底から激変する国の有り様が、未曾有の海難事故「大背美流れ」が、さまざまな困難が、奮闘する覚吾を襲う―。

著者等紹介

伊東潤[イトウジュン]
1960年、神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学卒業。『巨鯨の海』(光文社)で「第四回山田風太郎賞」「第一回高校生直木賞」「この時代小説がすごい!2014年版」を受賞及び第一位獲得。『国を蹴った男』(講談社)で「第三四回吉川英治文学新人賞」、『峠越え』(講談社)で「第二〇回中山義秀文学賞」、『義烈千秋 天狗党西へ』(新潮社)で「第二回歴史時代作家クラブ賞作品賞」、『黒南風の海 加藤清正「文禄・慶長の役」異聞』(PHP研究所)で「本屋が選ぶ時代小説大賞2011」を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ナイスネイチャ

167
図書館本。前作は連作短編集でしたが、今回は時代の行き来はあれど一人の主人公に当てた長編小説。時代の流れとはいえ抗えない悲しさが溢れてます。読後暫し考えてしまう内容でした。2015/10/20

藤枝梅安

123
「巨鯨の海」で採り上げられた、紀州・太地の捕鯨に関する物語の中の一人の棟梁の人生を描いた骨太の長編。黒潮と、時代の波に翻弄された主人公を通して、幕末から明治にかけての価値観の急変や身分制度の中途半端な解体など、現代日本が抱えている諸問題の根源を描く。すべてを自分の責任にして、周囲を守るトップの姿と、その反対に保身のために部下を苦境に落とし入れるトップの姿。事故が起こった時に冷静に対処しようとする人々と、取り乱して事故の処理を遅らせる人々。こうした対比はそのまま現代にも当てはまる。2016/01/19

あすなろ

109
時勢という化け物は、全てを呑み込みながら前進を続けている。そんな明治維新前後を生きた太地鯨組最後の棟梁。あの巨鯨の海の続編。否が応でも期待高まるが、我々承知のとおり、衰退していくこともあり寂しさ募る。しかし、最後の棟梁は、時代という化け物というか鯨に抗い、時に痛快に立ち向かう。花開かぬことが哀しい。時代という鯨に己の裁量で、捕鯨や漁業の近代化実現に心血を注いだ太地捕鯨組最後の棟梁は、もっと知られて良い存在だと思った。現代迄の捕鯨を続々編で希望。しかし難しいですかね。経営センスも読める伊東氏の作品は好きだ2015/11/03

yoshida

108
「巨鯨の海」で取り上げられた紀州太地の捕鯨。本作では明治に起きた捕鯨での最大の海難事故「大背美流れ」と、当時の棟梁太地覚吾の数奇な人生を描く。吉村昭さんの作品を思わせる取材力に感嘆する。また幕末から明治にかけての世相も描き非常に興味深い内容。太地では幕末から捕鯨が不漁となる。漁場まで来る鯨が乏しいのだ。その理由は産業革命により米国が莫大な鯨油需要に応えるため、鯨を乱獲していた為。結果、太地では遠海まで出て漁をせざるを得ず、大背美流れが起きた遠因となる。棟梁である太地覚吾の人生も波乱万丈。実に読ませる力作。2020/09/13

キムチ27

68
伊東さん、よほどに鯨漁にかける時代と男衆の意気に惚れたのかな。太地覚悟~と、まぁ芸名みたいな鯨とリの一代記。「巨鯨の海」の一編を膨らました作品だが、濃密な空気感が感じ取れたその方が好み。明治維新は庶民にとっては迷惑なものにすぎぬ…に表れるような覚悟の生一本、愚直さの語りが冗漫に感じられた。津本さんの類似テーマ作品の香りより骨太、がっつり史実的。楽しむと言うより、鯨と太地が織り成した緞帳を視る想いの一作。2015/12/01

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