内容説明
晴れて夫婦となった鈴子と孝冬。孝冬の裏稼業である“お祓い”に用いる十二単の霊・淡路の君を退治することに決めた鈴子は、同時に育ての親たちを殺した「松印」を持つ人物を捜していた。ある日、以前お家騒動があったと噂の多幡家の跡継ぎが、孝冬不在の花菱家を訪れて…。大正時代の東京を舞台にした悪霊退治ファンタジー第二弾!
著者等紹介
白川紺子[シラカワコウコ]
三重県出身。同志社大学文学部卒業。2011年に「サカナ日和」で第154回Cobalt短編小説新人賞に入選後、「嘘つきな五月女王」で2012年度ロマン大賞を受賞。同作を改題・改稿した『嘘つきなレディ―五月祭の求婚』で’13年にデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひさか
99
2023年5月光文社キャラクター文庫刊。書き下ろし。シリーズ2作目。黄昏の客人、五月雨心中、金の花咲く、の3つの連作短編。和装の準備をするお付きのタカとそれに意見を添える鈴子というシーンがとても楽しげで面白い。後半はそこに小間使いのわかが加わるので更に楽しくなる。和装の描写が美しく、できれば実物を目にしたい。現在の基準から考えると鈴子も孝冬も年齢以上の振るまいをする時があるが、大正時代というのは、こういった覚悟が必要な世であったのかも。淡路の君の謎は気にかかります。2023/06/03
はにこ
83
新婚生活が充実していて何よりだねぇ。孝冬はどんどん鈴子にぞっこんになるしw鈴子はクールなんだけど、花菱家を内から良くしようとしているのが良いね。この時代の華族って凋落した家もたくさんあったんだねぇ。体裁を守るだけの結婚とか離縁ってかわいそうね。2024/02/19
はなりん
75
孝冬と鈴子が段々と夫婦らしく、それぞれが相手を大切な存在として想い合っていく感じが良い。幽霊を間に挟んでいるのもあって、静謐な感じなんだけど、2人の間は温かくて安心感がある。花菱家の秘密や宗教家の不穏な動きなど、これからどんな展開になるのか楽しみ。2023/08/12
ままこ
74
シリーズ2作目。ホラーミステリーなんだけど、着物や小物の合わせ方、色合いをうっとり想像しながら読むのもこのシリーズの楽しみの一つ。さっぱりきっぱりとしていて思慮深い鈴子の性格が読んでて気持ち良い。隆冬がベタ惚れするのもわかる。それを隠そうとしないところが潔いな(笑)前作からの不穏な繋がりもありラストも意味深な感じだった。 3作目も早く読まねば。2024/07/15
こも 旧柏バカ一代
69
死んだ魚の目をしていた鈴子を気に入り夫婦となった花菱孝冬男爵。孝冬は鈴子に依存しており彼女に嫌われる事に怯えていた。その鈴子は孝冬に取り憑いている淡路の君と呼ばれている、悪霊を食べる怨霊を退治しようと企んでいる。そんな鈴子の異母姉の双子の雪子、朝子との食事で多幡子爵家での御家騒動の末に家を出て行った庶子の長男が、60歳も過ぎて借金の催促に現れ。それを断ったら灯籠に頭を打ち付けて死んでしまった。その庶子の霊がほぼ毎日、夕方にボロボロの紋付袴を姿で縁側に立ち、突然襖を開けて"返せ"と叫ぶらしい。それをされた2023/05/12