内容説明
敵対する組の親分を殺し、十三年の刑期を終えて出所した、“ピスケン”こと阪口健太。自衛隊の湾岸派兵に反対し単身クーデターを起こし、自殺未遂した“軍曹”こと大河原勲。大物政治家の収賄の罪を被った大蔵官僚出身の元政治家秘書“ヒデさん”こと広橋秀彦。個性的すぎるこの三人が、奇妙な縁でタッグを組み、彼らを陥れた巨悪に挑む!「悪漢小説の金字塔」決定版。
著者等紹介
浅田次郎[アサダジロウ]
1951年東京生まれ。’95年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、’97年『鉄道員』で直木賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、’06年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞・司馬遼太郎賞、’08年『中原の虹』で吉川英治文学賞、’10年『終わらざる夏』で毎日出版文化賞、’16年『帰郷』で大佛次郎賞を受賞。「蒼穹の昴」「プリズンホテル」などのシリーズでも多くの読者を魅了している。2015年紫綬褒章受章、2019年菊池寛賞、2020年日本歴史時代作家協会功労賞受賞。日本ペンクラブ第16代会長。この作品「きんぴか」は、著者の実質的デビュー作である(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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W-G
275
コミカルな調子にのせられて、驚くほど短時間で読み終わった。大人版のズッコケ三人組。悪党というほど悪党にも感じられない主役三名。ピスケンだけは実際に人を殺しているが、それも前時代的な任侠道として描かれているので、本当に全然ピカレスクな感じがしない。登場人物の誰もがクスッとなる逸話を提供してくれ、本来、悪役の立場の者にすら愛着がわくような造形。ただ、三人がそれぞれの特性を活かし、一丸となって立ち向かうような場面が今のところはなく、そこが今後に期待したいところ。すぐに続きも読もう。2023/05/31
ケイ
89
旅行中にオーディブルで聞く。今のポリコレでスキャンされると大変なことになるが、まあ、無茶苦茶でたのしい。ヤクザと、元高級トップ完了と、自衛隊の男。融通の効かない男たちを上手く集めた引退直前の警察官はナイスだ。正攻法でいけないことを、でもほぼ正攻法でやっつけようとするのにこの3人はピッタリだ。2024/09/10
カブ
50
私が知っている浅田次郎は「鉄道員」なので、実質的デビュー作はこの「きんぴか」はいい意味で想像以上で面白い。初版は30年ほど前らしく、今までに8回もリニューアルされているとか。元ヤクザ、元自衛官、元大蔵官僚の3人が大暴れ。まるでコントのようなやり取りや立ち回りに笑っちゃいます。続きも読んじゃお!2024/01/17
優希
49
面白かったです。元3人の悪党が奇妙な縁でタッグを組むとかありえるでしょうか。巨悪に挑んでいくのが痛快です。悪党小説の傑作ですね。続きも読みます。2023/07/01
かずぼう
40
一気読み、自衛官と極道の書き方が本当に上手い。著者自身が自衛官でもあった事もあってリアリティがある。旧時代の極道や帝国軍人などキャラが良い。痴呆の親分が病室で、メシ食ってけは爆笑した(お食事中の方に不快なので詳述はしない)2024/06/15