内容説明
不二宮市職員の矢代は、開催が迫った来常湖トライアスロン大会の準備に奔走していた。そんななか水質異常に気づいた同僚が検体を取りにいくと言い残して失踪し、キャンプにきていたカップルも荷物を残して姿を消す。海洋生物学者の渋川まりは、この湖にオオメジロザメがいるというが、これはサメの仕業なのか…?映画顔負けの迫力に圧倒される本格サメ小説!!
著者等紹介
雪富千晶紀[ユキトミチアキ]
1978年愛知県生まれ。日本大学生物資源科学部卒。2014年、『死呪の島』(受賞時タイトルは「死咒の島」)で第21回日本ホラー小説大賞“大賞”を受賞。同作は『死と呪いの島で、僕らは』と改題して文庫化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
76
ゾンビにナチス、サメと言えば所謂B級映画御三家であるが、小説だと前二者に比べてどうもサメの活躍度は薄い。本書はそんな影の薄さを吹き飛ばす一冊。サメがいる事を知る数少ない人間とそれを信じない大多数、税金やスポンサーとの兼ね合いで止まらない大勢が参加する行事とサメ映画の骨子はしっかりと備えているのは嬉しいなあ。序盤から中盤にかけてサメの影は薄くカタストロフィーまでのカウントダウンに期待が高まりつつ読むが、大会が始まってからはそれまでの静けさを吹き飛ばすが如く一気に大暴れ。サメ度が不足している貴方にお勧めです。2023/02/27
とんこ
41
サメ映画初め、パニックホラー映画好きな人にはたまらない小説。サメ映画あるあるのツボは確実におさえつつ陳腐ではないし、先の読める王道展開ながらいくつか仕掛けられたミスリードで驚かせてくれる。ご都合だけど無理のない展開。この表紙とあらすじで読む人に、期待通り!コレを待ってた!てものを読ませてくれる。え?続編あるの?読む読む〜。2024/03/18
白のヒメ
41
町おこしのため、開催されるトライアスロン大会。しかし、その大会の行われる富士山の見える湖に、巨大化したサメがいた。主人公は、参加者達を守れるのか?まず何故、淡水である湖に海のサメがいるのか。モスラやゴジラの昔の映画が思い起こされ、疑わしくて文字で読むのをどうしようかと思うくらい。でも、そこは作家さんがきちんと調べて科学的実証を持ってきてくれたので、納得しながら読み進める。「あり得る」という事が、10メートルを超えるサメが選手たちを襲うシーンを読ませる。とにかく私にこれを読ませた、作家の実証力があっぱれ!2023/04/12
Nao Funasoko
35
動物パニック物はとりあえず手に取る。この類のものは傑作か駄作か両極端であることが多い。 帯の「富士山麓の湖に巨大なサメが!?」の煽り文句いかがわしさを感じたが良い意味で期待を裏切られた。 なかなか正体が見つからなかった謎解きは安直ではあったが、巨大化した原因については、「なるほど、そうきたか」と納得。 登場人物それぞれのキャラや関係性もなかなか良かった。2023/03/27
活字スキー
28
「怒濤のサメ小説!」の帯に惹かれて読んでみると、期待通りのサメホラーであると同時に、全体を通して予想以上にちゃんとした小説になっていて、読んでる間は何度となく「真面目か!」とツッコんでしまった。映画では粗製濫造が行き過ぎてもはや「サメってなんだっけ?」と言いたくなるような状況になっているが、そういやホラー小説でサメものってこれまであったかな?「北風がバイキングを作った」はホラーじゃないし……。中学生の頃からサメに興味を持ち、大学では生物資源科学を修めたという著者の丁寧な仕事ぶりが光る快作。2023/03/14
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