内容説明
不二宮市職員の矢代は、開催が迫った来常湖トライアスロン大会の準備に奔走していた。そんななか水質異常に気づいた同僚が検体を取りにいくと言い残して失踪し、キャンプにきていたカップルも荷物を残して姿を消す。海洋生物学者の渋川まりは、この湖にオオメジロザメがいるというが、これはサメの仕業なのか…?映画顔負けの迫力に圧倒される本格サメ小説!!
著者等紹介
雪富千晶紀[ユキトミチアキ]
1978年愛知県生まれ。日本大学生物資源科学部卒。2014年、『死呪の島』(受賞時タイトルは「死咒の島」)で第21回日本ホラー小説大賞“大賞”を受賞。同作は『死と呪いの島で、僕らは』と改題して文庫化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナルピーチ
131
富士山を臨む湖でトライアスロンが開催される事に。大会まで残り一週間となった状況から物語は始まる。次々と行方不明になっていく人々…サメの生存を確認する為にやってきた海洋生物学者の闘いが幕を開けていく。なぜサメが湖にいるのか!?その謎を解明する為の現地調査と証明する場面の描写で、少しずつ恐怖心を煽り、これぞ『ジョーズ』と思わせるクライマックスがやってくる。一方的に蹂躙される人々、溜め込まれてきた恐怖が一気に解放される。圧倒的なスリルを楽しむ事ができ、アニマルパニック小説としての醍醐味を存分に満喫できる良書。2023/10/21
HANA
74
ゾンビにナチス、サメと言えば所謂B級映画御三家であるが、小説だと前二者に比べてどうもサメの活躍度は薄い。本書はそんな影の薄さを吹き飛ばす一冊。サメがいる事を知る数少ない人間とそれを信じない大多数、税金やスポンサーとの兼ね合いで止まらない大勢が参加する行事とサメ映画の骨子はしっかりと備えているのは嬉しいなあ。序盤から中盤にかけてサメの影は薄くカタストロフィーまでのカウントダウンに期待が高まりつつ読むが、大会が始まってからはそれまでの静けさを吹き飛ばすが如く一気に大暴れ。サメ度が不足している貴方にお勧めです。2023/02/27
白のヒメ
39
町おこしのため、開催されるトライアスロン大会。しかし、その大会の行われる富士山の見える湖に、巨大化したサメがいた。主人公は、参加者達を守れるのか?まず何故、淡水である湖に海のサメがいるのか。モスラやゴジラの昔の映画が思い起こされ、疑わしくて文字で読むのをどうしようかと思うくらい。でも、そこは作家さんがきちんと調べて科学的実証を持ってきてくれたので、納得しながら読み進める。「あり得る」という事が、10メートルを超えるサメが選手たちを襲うシーンを読ませる。とにかく私にこれを読ませた、作家の実証力があっぱれ!2023/04/12
とんこ
36
サメ映画初め、パニックホラー映画好きな人にはたまらない小説。サメ映画あるあるのツボは確実におさえつつ陳腐ではないし、先の読める王道展開ながらいくつか仕掛けられたミスリードで驚かせてくれる。ご都合だけど無理のない展開。この表紙とあらすじで読む人に、期待通り!コレを待ってた!てものを読ませてくれる。え?続編あるの?読む読む〜。2024/03/18
Nao Funasoko
31
動物パニック物はとりあえず手に取る。この類のものは傑作か駄作か両極端であることが多い。 帯の「富士山麓の湖に巨大なサメが!?」の煽り文句いかがわしさを感じたが良い意味で期待を裏切られた。 なかなか正体が見つからなかった謎解きは安直ではあったが、巨大化した原因については、「なるほど、そうきたか」と納得。 登場人物それぞれのキャラや関係性もなかなか良かった。2023/03/27