内容説明
「同じ本だ」。吉祥寺の図書館で働く里帆は、ブックカフェで素敵な声の男性からささやかれる。偶然、二人は同じ翻訳小説を手にしていたのだ。だが親しくなり始めてすぐ、彼がとんでもないことを言いだした―“僕、もう死んでるんです”。自分は幽霊で、一緒に漫画を描いていた親友に憑依しているというのだが…。不思議で切なくて温かい、期限つきの恋の物語。
著者等紹介
天野頌子[アマノショウコ]
東京外国語大学ドイツ語学科卒業。らいとすたっふ小説塾一期生として学び、2005年『警視庁幽霊係』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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シナモン
115
図書館司書と友達の体に憑依した幽霊の恋物語。面白かったです。明るい感じで進むのかな〜と思ったらどうやら憑依できる期間は四十九日間のようで、そこからだんだん真野さんの存在が薄れていくのが読んでて切なかった。いろんな思いやりに胸がじーんと。温かい気持ちになる一冊でした。2022/11/30
dr2006
38
憑依からの展開はきっとあれだよねって思ってても、つい心動かされる温かい作品、良かった。遠野ハルカは真野と東山二人組の覆面漫画家だ。図書館司書の鈴村里帆は、ゲリラ雨で雨宿りしたブックカフェで真野と名乗る男と偶々相席になり、大好きな海外小説の話題で意気投合した。顔色が悪く覇気が無い真野だが、何故か彼の静かな声は里帆の深奥に溶け込むように響いた。数日後、里帆はコンビニでレジをしている真野に出くわす。だが、話しかける里帆に真野は気づかない。ブックカフェで会った真野は一体何者?里帆は真野が既に死んでいたことを知る。2025/03/20
紫陽花
15
人は亡くなったら四十九日まではあの世へ行かずに家族や大切な人のそばにいる、って聞くけれど、それを地で行くお話でした。友人に憑依している当の本人がとてもサバサバしていてオドロ感がなく、なんならとても爽やかで、霊だということを忘れてしまいそうな感じでした。いろんな悔いがあるだろうけれど、終活をして、相棒に伝えたいメッセージも伝え、片思いだった人と仲良くなり、本人にとってはきっと幸せな49日間だったのでは。でも、生きては戻れない。悔いのない人生のためにも行動しないといけないな、と思いました。2025/05/09
こばゆみ
13
吉祥寺で図書館司書をしている里帆が恋した相手は憑依霊だった…!という、なんともファンタジックな恋愛小説。児童書っぽさを感じるほのぼのしたお話だっただけに、最後の「愛してる」の連呼が妙に浮いて感じたのでした(^_^;)。作者のあとがきがとても温かくて良かった!2023/01/20
一五
11
司書の里帆がブックカフェで声をかけられた真野は漫画家。で、四十九夜だろ なんとなく見えるよね、楽しいけど里帆には少しかわいそうな、天野さんらしい幽霊潭だった2023/06/02