出版社内容情報
白川紺子[シラカワ コウコ]
著・文・その他
内容説明
大正九年の東京。侯爵令嬢の瀧川鈴子はとある事情から浅草出身で、怪談蒐集が趣味だ。芸妓の悪霊を目撃した日、鈴子は花菱孝冬という青年に出会う。彼は十二単を纏う謎の霊を使い、悪霊を「食わせた」のだった。掴みどころのない孝冬を気味悪く思う鈴子だが、なぜか求婚されて―。逃れられない過去とさだめを背負う二人が結ばれ、動き出す未来とは!
著者等紹介
白川紺子[シラカワコウコ]
三重県出身。同志社大学文学部卒業。2011年に「サカナ日和」で第154回Cobalt短編小説新人賞に入選後、「嘘つきな五月女王」で2012年度ロマン大賞を受賞。同作を改題・改稿した『嘘つきなレディ~五月祭の求婚~』で’13年にデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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真理そら
108
大正時代。当主が女中に手を付けて生まれた鈴子は10年ほど貧民窟で育ち、父の侯爵に引き取られた。侯爵家には亡き正妻の息子、現在屋敷に住んでいる妾の息子1人、娘2人が居て…とシンデレラ的な方向に進むかと思ったら、全員末娘の鈴子をかわいがっている。鈴子は元千里眼少女で今も「見える」体質。淡路の神社の神官・花菱男爵に嫁ぐことになるが花婿は鈴子に「死んだ魚のような目が好きだ」などという変わり者。作者の細かい着物についての描写が好きだ。2023/05/11
ひさか
107
2022年9月光文社キャラクター文庫刊。書き下ろし。シリーズ1作目。虚飾のエメラダ、花嫁簪、魔女の灯火、の3つの連作短編。大正時代の華族である夫妻の退魔譚。時代の雰囲気と妖しい事件と二人の関係の織りなす展開が興味深くて面白い。次巻が楽しみ。2022/10/29
こも 零細企業営業
88
大正浪漫の除霊モノ。御贔屓の子爵の家に現れる芸妓の霊。結婚する娘のために、亡くなっても商売を続ける漬物屋の霊。その漬物屋を殺してしまった官僚の家族の霊。別荘で亡くなり、その別荘を彷徨う夫人の霊。それを祓うと言いながら先祖代々血族に取り憑いてる怨霊のようなモノに霊を喰わせる宮司でありながらも男爵の地位に就いてる孝冬。そんな孝冬と偶然出会い結婚してほしいと言われる鈴子。それぞれに事情があってなかなかに複雑な人間模様をしている。そんな2人は夫婦となって除霊をして行く。2022/11/05
はなりん
87
大正時代。幽霊が視える侯爵の末娘と、神職の花菱家の当主が出会い、二人で幽霊絡みのあれやこれやを解決していくお話。二人とも生い立ちや家族関係が複雑で、能力も特殊です。そんな二人がお互いに惹かれ合って信頼できる関係になっていく様子が良い。続きも楽しみ。2023/05/14
ままこ
86
舞台は好きな大正時代。とある事情で怪談蒐集をしている鈴子。偶然の出会いにより、訳あり神職華族の高冬に求婚されるが…。さっぱりとした性格の鈴子、継母や腹違いの兄姉も良い感じ。何やら色々さだめを背負う夫婦の馴れ初め編。続編もあるので読んでみたい。サクサク読める胸キュン和ホラーファンタジー。2023/12/11