内容説明
お実乃が奉公する神奈川宿の茶店・雷屋は、二階でもぐりの旅籠もやっていて宿賃は割高。客もわけありで癖の強い連中ばかりで、お実乃はしょっちゅう振り回されている。ある日、それまで元気そうにしていた客の老婆が、突然、夕餉のあとで謎の死を遂げる。厄介事を嫌い、「病死だ」と言い張る主人の仁八に不信感を抱いたお実乃は、真相をさぐろうとするが…。
著者等紹介
中島要[ナカジマカナメ]
早稲田大学教育学部卒。2008年、「素見」で第2回小説宝石新人賞を受賞。’10年、『刀圭』で単行本デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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時代小説大好き本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
77
あれ?!中島さんてこんな感じの作家さんだっけ?と思いながら、でも最後まで読むとどこかで納得してしまった作品。神奈川宿に茶店を営む「雷屋」は裏でもぐりの旅籠もやっている。旅籠の部分に奉公するお実乃。彼女は少々客の内内に首を突っ込みすぎるきらいあり。この性格が災いして後々身の上に災難が降りかかるんだけど。この旅籠で連続する3人の不審死。仲間からはお実乃が疑われ、お実乃は客と仲間を疑い…。丁度、時は横浜開港で賑わい尊王攘夷と幕府が何かと騒がしい時代。おせっかいお実乃の人生までも変えていく。スッキリ完結。2023/01/30
のんちゃん
27
時は幕末、神奈川宿の茶屋雷屋はその2階で、もぐりの旅籠を営み、訳ありの客を泊めて法外な宿賃を取っていた。主人公はそこの女中お実乃18歳。ある日、客の老婆が突然死し、その後、仇討ち目的の浪人が二人、やはり突然、死んだ。宿の者達は病死と自死と決めつけるが、お実乃は納得がいかず真相を探り始める。時世の不穏な空気、お実乃の身の上、怪しい旅籠等の要素が複雑に絡み合い、上質の推理物となっている。あるアンソロジーで、作者中島要さんが時代推理物の名手と知り、手に取った作品。当時の社会情勢等も勉強になった一冊。2023/06/20
ベローチェのひととき
17
妻から廻ってきた本。幕末時期の神奈川宿を舞台とした物語。主人公は神奈川宿の茶店だけど、もぐりで旅籠も営んでいる雷屋で働く女中の実乃。もぐりで宿賃も割高なのだが、泊まる客も訳ありの客ばかり。そんな中、老婆と仇討ち目的の浪人2人が立て続けに謎の死を遂げる。究明に乗り出す実乃… 神奈川宿から見た開港当時のどんどん発展していく横浜港の様子が目に見えるようで興味深かった。2023/07/04
ごへいもち
13
なんだかとっ散らかった感じ2023/05/11
きゃる
9
主人公のお実乃は美人でもないし、字も読めないし機転がきくわけでもない妹で。姉は美貌の花魁だ。娘を食い物にする両親に嫌気がさして、雷屋に住込みの女中として働く、義侠心だけは強く、褒めてやりたいが、芯がなくふらふらしている内に、事件は解決。姉のおかげで先の心配もなくなったような終わり方。等身大の主人公って感じなのが、珍しい時代物だった2025/06/01
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