出版社内容情報
強盗容疑で勾留されていた竹迫和也が弁護士と接見中に脱走。彼は乗り鉄刑事・片倉康孝が6年前に逮捕した男だった。シリーズ第4弾。
内容説明
勾留中の凶悪犯が脱走した!その男は刑事・片倉康孝が六年前に強盗と窃盗で逮捕した竹迫和也だった。竹迫の行方が知れぬなか、片倉は休暇を使って秘境のローカル線・飯田線に乗り天龍峡を訪れた。逃亡を続ける竹迫もまた、悲惨な過去を清算すべく、飯田線を目指す―。名勝・天龍峡で因縁の二人の運命が交錯する!好評シリーズ第四弾!
著者等紹介
柴田哲孝[シバタテツタカ]
1957年東京生まれ。日本大学芸術学部中退。2006年『下山事件 最後の証言』で日本推理作家協会賞(評論その他の部門)と日本冒険小説協会大賞(実録賞)、’07年『TENGU』で大藪春彦賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ
49
令和というより平成、昭和のカビ臭さが。久しぶりの柴田クライムノワールは展開のスピード感もあり、読ませた。竹迫の異常性、幼児体験、性的虐待と重ねていく歴の業の深さ・・背中の野守虫∼ヤモリ虫でなくノモリって読ませるのだね。水木さんの妖怪とは色味が異なり飯田、天竜川沿いの情景が迫ってくる戦慄がある。片倉の射撃技能に痺れる・・作り物ではなく、一個の個人が持つ、或る意味偶然性の産物のラストは高度の着地点を感じた。前妻を引っ張ってきたのはねぇ‥コンセプト的には仕方ないか(偶然性もここまでくると、ちょっとくどい)2025/06/08
YH
5
竹迫のお母さんが殺された場所は幼少期に暮らした場所とあまりにも近く、思い出の中の界隈の情景が浮かんだ。今回は中途半端にプロファイリングなんて要素を盛り込んだのが、なんだか今更感。プロファイリングがミステリ内で使うのがプチ流行したのは大分前なんじゃないだろうか。柳の使い所がそこだったのがちょっと残念だった。2024/08/13
もも
5
事件はのどかな秘境線とは対照的に悲惨でしたが、スピーディーな展開で一気読みでした。犯人の竹迫が「さん付け」で呼ばれたときに、少し嬉しそうなのが印象的でした。「危ない人を見分ける」150項目のチェックシートは実際のものらしく、世の中には本当にこういうタイプの人間がいるのだと思うと、怖い。竹迫はところどころ社会性が潜んでいる兆候があったので、子供のときの経験次第で違っていたのだろうと思うと切ないです。2022/08/29
honnotantei
3
★★★★☆うわー!!シリーズ史上一番おもしろかった!!今までとは違うクライムサスペンスで一気読みでした。片倉さんと奥さんの出会いの話もあり、ステキな出会いで憧れます。ずっとすれ違ってきたけど少しずつ関係が変わってきて応援したくなります。そして尊敬すべき男の人ってやっぱりかっこいい。この犯人がこうなってしまったのは環境が大きくて、幼い頃の彼を思うと辛くなりました。このシリーズ、もう少し定年を伸ばしてもらって楽しみたい。。2025/03/30
オールド・ボリシェビク
3
乗り鉄刑事が飯田線沿線で脱走犯と対決するという筋書きから、柴田哲孝もいつの間にか、西村京太郎のようになってしまったのかと思ったら、そこはそこで、柴田らしいえぐみも残していて、一気呵成に読んでしまった。天竜川沿いのローカル色もよく出ていて、そこに警察小説の要素を入れ、シリアル・キラー分析というトレンドも盛り込んで、面白い仕上がりになったと思う。なんだかんだで、定年間際の刑事を主人公にしたシリーズ第4弾になるそうだ。2022/05/19