出版社内容情報
瀬戸内随一の船大工と称えられる嘉右衛門。しかし、造り出した大船が沈没し、弟子・市蔵や大勢の船子を失ってしまい――。
内容説明
瀬戸内一の船匠と称えられる嘉右衛門。しかし、自信を持って造り出した七百石積みの大船が時化で沈没、右腕と頼む弟・市蔵や大勢の船子を失ってしまう。失意の嘉右衛門は河村屋七兵衛からの千石船建造の依頼を断るが、息子・弥八郎はそんな父を詰り、嘉右衛門は弥八郎を義絶する。弥八郎は、一人、千石船建造に取り組むことを決意するが…。
著者等紹介
伊東潤[イトウジュン]
1960年、神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学卒業。『巨鯨の海』(光文社)で「第4回山田風太郎賞」と「第1回高校生直木賞」を、『国を蹴った男』(講談社)で「第34回吉川英治文学新人賞」を、『峠越え』(講談社)で「第20回中山義秀文学賞」を、『義烈千秋 天狗党西へ』(新潮社)で「第2回歴史時代作家クラブ賞(作品賞)」を、『黒南風の海 加藤清正「文禄・慶長の役」異聞』(PHP研究所)で「本屋が選ぶ時代小説大賞2011」を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hiyu
5
未だ難易度が非常に高いと言われる千石船造りに挑む親子。そこには行き違いあり、すれ違いあり、奮い立たせる何かあった。息子との関係性を考える中で、自分は嘉右衛門のほんの僅かばかりにも至らないが、改めて息子とちょっと将来について話したいと感じた。これ映画にならないかな。2022/01/25
きよかつ
3
熱い小説だった。実の親子関係(特に父と息子?)の難しさは時代に関わらず難しいのか 笑。職人気質の良し悪しについて考えさせられた。9/102021/04/26
ERI
2
プロジェクトXと弔い合戦、感動的にならざるを得ない組み合わせ。2022/03/16
km.
2
江戸時代前期で造船技術がまだ発展途上の頃の物語。主人公の船大工の頭と息子そして大工仲間が、超大型船といった新たなニーズに、様々な葛藤の中、命懸けで立ち向かってゆく。 最近お気に入りの著者だが、このようなストレートに熱量を描く物語もまた良い。後半は涙なくては読めなかった。 主人公の船大工の頭と同じ五十代なだけに、彼が抱える葛藤に共感し、これから自分のなすべき事などを考えながら読むことが出来た。2021/11/03
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2
1日で500ページ一気読み。作者自ら自己最高到達点と評する通りの傑作。綿密なリサーチをベースに親子の相克や愛情のすれ違いが描かれ、単なる時代小説だのビジネス小説だのとは違う次元の人間ドラマになっとります。冒険小説としても最高。いささか題材が地味に受け取られたのか、あるいはタイトルや(単行本時の)カバーデザインの熱量に引かれたか理由は不明ですが、著者50作を超えるカタログの中でも、いささか見過ごされた感のある、真のマスターピースです。おすすめ!2021/10/03