出版社内容情報
したたかなようで情にもろい女の哀しさを描いた表題作ほか、計三篇の読み応えのある短編を収録。
内容説明
星野花江は社長秘書をしている。社内ではケチで通っており、小金を貯めていると評判だった。実際、社員に金を融通していて、利子まで取っていた。彼女にはそれ以外にも、競馬の予想を流すという副業があり、その情報の出所に、彼女の秘密がかくされていた―。(表題作)“堅実に”金を貯めていた女は何を誤ったのか。表題作の他三編を収録した傑作作品集。
著者等紹介
松本清張[マツモトセイチョウ]
1909年北九州市生まれ。給仕、印刷工などの職業を経て、朝日新聞西部本社に入社。懸賞小説に応募入選した「西郷札」が直木賞候補となり、’53年に「或る『小倉日記』伝」で芥川賞受賞。’58年に刊行された『点と線』は、推理小説界に「社会派」の新風を呼び、空前の松本清張ブームを招来した。ミステリーから、歴史時代小説、そして古代史、近現代史に論考など、その旺盛な執筆活動は多岐にわたり、生涯を第一線の作家として送った。’92年に死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みゆき
16
キレがある文章が好みにぴったり。表題作だけでも一冊の価値があるのに、ほかに三編も収録という贅沢さ。(「式場の微笑」「駆ける男」「山峡の湯村」※「式場の微笑」のみ殺人なし)もはや迷宮入りか?と思われる事件が一転。怒涛の展開で解明されていく。事件の傍観者と思われた人々が後に重要な役割を果たす。緻密でスリリングな構成が秀逸。被害者たちの哀れな末路が涙を誘う。その一方で完全犯罪を全うしてほしいような複雑な心境に陥いるから不思議だ。ミステリーとサスペンスのバランスが絶妙で、もっとこの世界に浸っていたかった。2024/09/19
Kira
13
図書館本。現代ミステリを四篇収録。松本氏の時代ミステリが面白かったので現代ものも読んでみたが、いまひとつだったかな。昭和を舞台にした小説を読むには、時代小説を読むつもりでなければ違和感を覚えるものだと実感した。登場人物のしていることが、現代的であって現代ではあり得ない。中編「馬を売る女」を読んでいる間、その違和感がずっとつきまとって妙な気分だった。2022/07/20
ランラン
7
短編集であるが馬を売る女は私の中では清張短編の中で10指に入る。2022/08/22
z1000r
4
表題作は携帯電話も、etcも、Nシステムも無い時代の話であるが、偽装のアリバイ工作をしたがため完全犯罪では、なくなるといった内容。 目のつけどころが、なかなか面白く楽しめた。2021/11/03
四面楚歌
3
あっという間に読んでしまった。もう清張がやめられない止まらない笑 どの作品を読んでも映像がはっきり見える感じで自分もその現場で見ているような気分になったり登場人物と一緒に行動している気分になったりして清張沼に引きずり込まれてしまうことが多い。それにしても毎回、清張先生の抽斗の多さに 驚く。「駆ける男」の駆ける理由がそんなことある?ってなってオチまで楽しませてくれた。2023/03/07
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