内容説明
探偵社に入社間もない私の仕事は、面倒な客の依頼を断ることだった。ある日の客はみとれるほどの美しい女性で、会社の金を横領して自殺したとされる弟の事件を再調査してほしいという。警察の捜査を蒸し返すのはタブーだが、女の頼みを断り切れない私は、個人的に依頼を受けることに…。(表題作)独特のユーモアと巧緻なレトリックで魅了する中短編を八話収録!
著者等紹介
天藤真[テンドウシン]
1915年東京生まれ。東京帝大卒。同盟通信社の従軍記者として中国へ渡る。戦後は開拓農民として千葉県に入植。’62年に「親友記」が宝石賞の佳作、長編『陽気な容疑者たち』が江戸川乱歩賞の最終選考に残った。翌年「鷹と鳶」で宝石短編賞受賞。その後、寡作だが上質のミステリーを発表し、’79年には『大誘拐』で日本推理作家協会賞を受賞。さらなる活躍が期待されたが、’83年に病で逝去した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
geshi
29
昭和の這い上がろうとする意気と何処かにいそうな登場人物の存在感と少し抜けたユーモラスな味わいを楽しむうちにミステリとしてやられる天童真らしさを満喫できる短編集。『犯罪講師』がベストで、相手の虚を突く誘拐計画の手際が見事なだけに思いもよらぬ逆転を生むオチの切れが抜群。『逢う時は死人』のとぼけた感じのサラリーマン探偵が汲々としている様がしっかり布石になっている巧さ。『共謀者』の入れ替え計画にどんどん身を入れていく描写にニヤニヤしていたらオチでひっくり返す。2022/12/04
Inzaghico
7
天藤らしい、最後ににやり、くすりとする作品が多い。 「星を拾う男たち」の中心人物のひとりが、東京大学法学部を卒業していながら、なぜか屑屋をやっている卯平という男性だ。卯平と息子のような相棒の次郎が、夜中に仕事でリヤカー引いて回っていたら、空から星が落ちてきた、と思ったら背中を刺された男性の死体だった。その事件を捜査するのが卯平の東大の後輩の松岡だ。後輩の力になりたいと、独自に調べる卯平だが……‥。卯平と同業のおかみさんたちの描写がうまい。こういうおばさん、いたいた、と目に浮かぶ。2021/03/13
てきとうたろう
1
表紙がお洒落過ぎる(好みですけどね)…さておき、書かれた時代の状況も描かれてるのですが、さほど今と変わらない気がするのも驚きです。んで人物の描かれ方が好きなんです天藤作品。殺人事件もあるのに妙なユーモラスなとこ、短編でも上手く描かれて楽しかった。私的には「鷹と鳶」が好きです。2024/03/28
wankousan
0
時代が古いので読みにくい所もあったが内容は面白いものだった。2022/05/22
Tatsuo Ohtaka
0
大好きな作家の未読中短編8作を収録。ユーモア満載で楽しい。なかでは中編「星を拾う男たち」が好きだ。2021/03/16