内容説明
海次は十八歳。丹波杜氏である父に倣い、灘の酒蔵・樽屋の蔵人見習となったが、海次の興味は酒造りより、新酒を江戸に運ぶ新酒番船の勇壮な競争にあった。番船に密かに乗り込む海次だったが、その胸にはもうすぐ兄と結婚してしまう幼なじみ、小雪の面影が過っていた―。海を、未知の世界を見たい。若い海次と、それを見守る小雪、ふたりが歩み出す冒険の物語。
著者等紹介
佐伯泰英[サエキヤスヒデ]
1942年北九州市生まれ。闘牛カメラマンとして海外で活躍後、主にノンフィクション作品を発表する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しんごろ
166
灘、伏見の新酒を江戸に運ぶ新酒番船。江戸に一番(惣一番)で届ける競争の話。吞んだくれの酒好きにとっては、興味のある話でございます。読んだら、まあ面白い。男達の熱いドラマが船上でありまして、一気読みできちゃいます。久しぶりに続編を書いてほしいと思う物語に出会いましたよ。チキチキマシーン猛レースのような続編を佐伯さんに書いて欲しいなと思うわけですよ。本のそばには日本酒を置いて、読んだら粋かなと勝手に思ったりしちゃうわけですよ。ええ、今、当然、日本酒を呑んでまして酔っぱらってます。2020/08/29
やま
105
新酒番船 2020.06発行。字の大きさは…小(中であるが、字が薄いので小)。 丹波杜氏・長五郎の次男で蔵人見習いの海次が、新酒番船に乗って大活躍する物語です。 海次は、酒造りをするよりも、船に乗って酒を運ぶのが好きで、新造船・三井丸に密航して、初めての船で船酔いもせず、得意の弓で海賊とも渡り合い……と活躍します。 男達のドラマに、女性が二人出て来ます。海次の幼馴染の小雪と、継母と上手く行かず江戸の実母のもとへ行くお薫の二人です。この二人の女性を、うまく織り交ぜながら物事を進めているのがいいです。2020/08/16
とし
93
新酒番船 。新酒を江戸に運ぶ新酒番船、帆船15隻で江戸到着壱番を競う700キロの競争に、蔵人見習いの海人が無断で乗り込み大活躍する物語、剣劇シーンは無いがハラハラドキドキの一気読でした。2020/08/24
のり
78
丹波杜氏の次男の「海次」は蔵人見習いながら海に憧れを持つ。新酒を西宮浦から江戸まで700㎞の道のりを帆船15隻で競う番船に密かに乗り込む。荒れた海原を制した番船は名誉と莫大な富を得る。海次は秘めた想いを抱えながらも、性に合う船乗り・男として成長していく。海に生き愛される男達の立ち振舞いに心踊る。2020/07/16
ポチ
53
佐伯さん初読みです。面白いじゃあないですか。次はどうなるのかと一気に読ませる所はさすがです。続編が楽しみな作品ですね(^^)2020/11/21