出版社内容情報
「夜叉萬」と畏れられる隠密廻り同心、主人公・萬七蔵。清濁併せのむ現代的なヒーローが立ち向かう、もう一つの悲しい成敗！
内容説明
北町奉行が異例の若さで定廻り同心に抜擢したのは、萬七蔵、三十五歳。袖の下を使った出世だと噂が広がる中、深川の貸元が何者かに殺害される。あと一歩まで下手人を追い詰める七蔵だったが―。まだ夜叉萬と呼ばれる前の七蔵が取り逃がした凶悪な男と再び対決。侍の世の不条理と、敵への憐憫と、人の心に巣くう何かをも斬る。夜叉萬の始末が胸を抉る傑作小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
やま
94
夜叉萬同心7作目 2020.04発行。字の大きさは…中（字が薄くて目が疲れます） 此度は、北町奉行所隠密廻り方同心・萬七蔵が、新任の定町廻り方同心時代のやり残した難事件にかたをつけます。 下手人の田島享之介は、貸元の岩ノ助、そして檜屋の番頭の首を刎ね逃走する。８年前に逃走した田島享之介の消息が、上州高崎の岩鼻代官所よりもたらされ。萬七蔵は、手下を連れて上州へ…。 最後に「人は死なない」と、著者は、私に語りかけて来ました。そうだ、七蔵の胸には、田島享之介の思いが生きていると…。2020/08/02
はにこ
52
過去の捕まえられなかった下手人を追うという新しい趣向。今で言うサイコパス。昔からこういうのあったのかな。取り逃していた犯人を成敗できて夜叉萬さんの名声も上がって良かった。改めて良い仲間に恵まれて良かったよね。2024/02/23
真理そら
47
まだ定町廻りだった夜叉萬が捕り逃がした犯人と再び向き合う。この作者のこういう哀しい剣客（かな？）の描き方が好きだ。2020/04/16
ぶんぶん
21
【図書館】夜叉萬同心、第七弾！ 今回は夜叉萬が定廻り同心に抜擢された話とその後日談。 そこには、家族愛と疎外感、世の中の流れとやりきれない空虚感が残った。 駆け出しの萬七蔵が見られて良かった。 しかし、隠密廻りだと言って上州まで探索するかな。 普通は江戸市中だと思うが、しかし、道中物の雰囲気が味わえたから良いか。 もっと夜叉萬らしさがあっても良かったと思う。 人情の機微に今回もほろり。 タイトルは相変わらず惰性で付けてる感がする（笑）2021/02/23
蕭白
8
過去の事件が絡むお話。面白かったです。2021/08/05
