内容説明
涼太と祝言を挙げ、青陽堂の嫁としての新たな生活を迎えた律は、息抜きに出かけた先で、同じく嫁いだばかりの女たちと知り合う。悩みを打ち明け合える知己を得て心強く思う律だった。一方、池見屋で、律は義母の佐和もよく知る由里という女性に出会う。彼女は何やら心に憂いを抱えている様子なのだが―。一途に生きる女職人の人生を描く人気シリーズ第六弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のり
67
祝言を挙げた「律」と「涼太」。何とも初々しい二人である。仕事を抱えながら、婚家の「青陽堂」のしきたりを覚える。それでも息抜きとして出かけた先で、同じ頃に嫁いだ者と知り合う。今までと違う世界観があり、幅をもたらしてくれる。人の縁とは不思議なものだ。人情のもつれや舞い込む事件。この一年足らずは波乱万丈だった。「香」の出産も待ち遠しい。この先も楽しみ。2025/08/31
真理そら
66
律と涼太の甘~い新婚生活。新妻友達の中のお伶は今後も登場してほしいキャラ。表題作は東慶寺関連の作品も読んでいたので興味深かった…どんなに愛が強くても正攻法で行かないと相手に伝わらないよねと思わせられた。2020/06/12
はにこ
62
新妻、お律のまぁウブなこと。涼太が世慣れていて良かったねぇ。そんなお律は主婦友とランチ会したり、お香の元を訪れてたり新妻ライフ満喫。佐和に奉公人のことや家のことを教わったり、でも自分の仕事もしてと新しい生活を始める。そんなところに持ち込まれた着物の依頼。その着物の持ち主を救う為に佐和、類、お律が立ち上がる。女達の結束が強まって、格好良かった。いつもは影の薄い清次郎が今回はちょっと活躍。良い味出していた。2020/11/10
天の川
51
律と涼太の祝言明けから始まったこの巻。これまでの二人のじれったい恋模様はなくなってしまったけれど、新妻となった律が微笑ましい。そして、姑となった佐和と池見屋の類の厳しくも優しい『からかい』が何とも素敵。一本筋の通ったお二人に拍手喝采したくなる。タイトルの「駆ける百合」の意味がわかった時、百合の矜持にも心打たれた。2020/11/13
のんちゃん
48
女上絵師であり、時に奉行所の依頼で、事件関係者の似面絵を描くことを業とするお律の物語、第6弾。今回お律は、長年の想い人で、葉茶屋青陽堂の跡取り息子涼太との祝言も済み、嫁という立場にもなった。今回は青陽堂の女将である涼太の母、佐和とお律の仕事をまわしてくれる池見屋の女将、類の活躍が快い。今作は短編4話とも男女の機微を扱った少し切ない物語となっているが、そこはこのシリーズ、最後はすっきりと穏やかな気持ちで終わる。次回はお律が母親になるのかな?と今から楽しみだ。2020/07/05
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- 和書
- 夢にも思わない 角川文庫