出版社内容情報
場所も時代も異なる二つの事件に共通する女。この事件は果たして繋がっているのか!?迷宮入り事件の真相に迫る、傑作警察小説。
内容説明
二〇年前、東京都練馬区で起きた放火殺人事件の現場から姿を消した謎の女、鮎子。定年間近の刑事・片倉康孝は、女の足取りを辿るため、秘境のローカル線・只見線に乗った。そして旅先の魚沼で、四〇年前に火事で鮎子という女が死んでいたことを突き止める。時空を超えて重なる「火事」と「鮎子」―二つの事件の関係は?迷宮入り事件の真相を追う、傑作警察小説。
著者等紹介
柴田哲孝[シバタテツタカ]
1957年東京生まれ。日本大学芸術学部中退。2006年『下山事件 最後の証言』で日本推理作家協会賞(評論その他の部門)と日本冒険小説協会大賞(実録賞)、’07年『TENGU』で大藪春彦賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はつばあば
41
片倉刑事の3巻目。「黄昏の光と影」2016年に読了して「砂丘の蛙」が文庫になったのも知らずこの「赤猫」に。片倉刑事の私生活もさることながら刑事としての仕事も部下たちにも色々あったろうが・・。20年もの前の未解決事件を掘り起こす定年前の片倉。ここに登場する昭和の初めの頃の過去の人達の中から犯人を探し出す刑事の執念のようなものにクラ クラする。DNAを狙いに絞った作品なのだろうが、ボケた頭に、名前と人物が中々一致しなくて結構辛い読了となってしまった。60年後に「はつ」とは何者ぞって言うのと同じかも(;´∀`)2020/11/14
アンベラー
6
人の人生の数以上にドラマがある 同じ人間がなりすましで生きていく赤猫で昔の事件を追う 面白かった2020/04/06
もも
5
20年前の事件の犯人と思われる”鮎子”を追って秘境ローカル線へ。後ろ姿が見えたと思ったら幻のように消え去り、またつかんだと思えば消える。まるで”幻の女”を追いかけているようでした。そして秘境の描写も素敵です。只見線の風景は「日本人の心の風景」なんですね。2022/09/27
犬養三千代
5
只見線を舞台にした片倉警部補の推理小説。どろどろとした人間関係をこれでもかというくらい複雑に展開させる。鮎子、峰子、正子。二十年の物語が六十年に遡る。癖になってしまった。只見線乗りたい。2020/12/14
YH
4
20年前の放火事件の犯人がわかるまでの地道な捜査の過程は面白かったが、片倉達とここまで一緒に追いかけた事件なんだから、きれいに真相を知りたかった。いくつもモヤっとしたものが残っているのが消化不良。2021/06/13