内容説明
小さな会計事務所で働く鶴峯裕は同い年の妻・志保と共働き、四歳の長女・莉枝未ともうすぐ二歳になる長男・琉大を保育園に預け、バタバタの日々を過ごしている。そんな鶴峯家に、ママ友、パパ友から子育てにまつわる難題と謎が押し寄せる!そして事件はとうとう鶴峯家にも―。裕は数々の謎を解き、育児の問題も解決して、家族の幸せを守れるのか!?家族を守る新米騎士が育児と謎解きに悪戦苦闘!現代を代表する家族小説×ミステリー!
著者等紹介
辻村深月[ツジムラミズキ]
1980年2月29日生まれ。千葉大学教育学部卒業。2004年に『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞し、デビュー。’11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、’12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木賞、’18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
317
いい夫婦だなぁ!子供ってある意味夫婦の元に降臨した神様だと思う。子供は3歳までに親孝行の全部をしてくれるって名言、本気で実感してます。本作、率直にちょっと怖いお話でした。今、子供を産み育てようとしている方に不安を与えそうなリアリティーがあります。お受験なんかは恐ろしさの極致!素敵すぎるご主人視点で紡がれる本作、比べられたら困る程のいい旦那!辻村さんは上手く纏めてくれた。クローバーナイト、いい言葉だ!世の親御様!どうか他の子と比べて右往左往するのはやめましょう!我が子から色々学ぶ親でいたいものです‼️🙇 2020/02/24
mae.dat
275
先日読んだエッセイの『図書室で暮らしたい』で語られていた事にも“もろに”重なりますね。お子さんをお持ちになっての経験や境遇が反映されているのでしょう。kids子育て世代に厳しい地域社会システム。ママ友のコミュニティ問題等々。読んでいて少し息苦しく感じるよ。でも只「生き辛い」と嘆いているだけではなくてね、日常ミステリーとして仕上げているのが一工夫。そしてちょっとした謎が解けると共に、息苦しさを覚えた確執の様なものも溶けて丸く治るの。少なくとも表面上は。うちは奥さんに護られていたのだなぁ。改めて感謝せねば。2023/01/13
さてさて
265
『ホカツ』、『お受験』、そして『お誕生会』といった『育児』の中に登場するキーワードの数々に主人公・裕が向き合っていく様を描くこの作品。そこには、男性主人公視点だからこそ描ける育児の現実がリアルに描かれていました。なかなかに興味深い話題てんこ盛りのこの作品。辻村さんらしく見事な伏線が各短編内だけでなく、五つの短編を貫くようにも張られるなど見事な物語構成が光る中に”身近なミステリー”も楽しめるこの作品。育児に潜在する問題点をさまざまな視点から浮かび上がらせていく物語作りの上手さを感じさせる傑作だと思いました。2022/08/29
ろくせい@やまもとかねよし
248
子育ては楽しいと伝えるイケてる旦那の物語。彼らに対峙するは5つの普通。保育園での普通。保育園へ入園させる活動の普通。小学校受験を見越した幼児教育の普通。子供を頭越しにする親の見栄やエゴが先行した誕生日会の普通。核家族がはらむ世代間ごとに異なる子育ての普通。いずれの普通もぼやけた理屈のあいまいな枠組み。しかも普通は集団ごとで全く異なる善悪の指向を示す。しかしそんな普通でもそれぞれの集団で意識統制を強いる。終盤に表す大切なこと。それは子供ができた一歩一歩を尊び喜ぶこと。そして育てさせてもらっているとの謙虚さ。2022/01/12
hit4papa
168
共がせぎ夫婦と保育園に通う子供二人、四人の親子に起こる日常の謎を描いたミステリちっくな家族小説です。連作短編集で、イクメン、保活、お受験等、自分には縁のないセレブなお話の数々。女性目線で大黒柱(クローバーナイトという表現)が、とっても素敵な男性として描かれています。著者の理想なのか、リアルなのか、とにかくよくお調べになっていると思うものの、反感がむくむくと起こってしまいます。きれいな箱庭のような生活を幸福とよぶことができない昭和な男には馴染めず…。よって、どうにも謎解きの方へ感心が向かないわけです。2021/09/05