内容説明
父・秋山史親を火災で失った雅彦と太一、母・景子。止むを得ず史親の実家の工務店に身を寄せるが、彼らは昔気質の祖父・善吉が苦手。それでも新生活を始めた三人は、数々の思いがけない問題に直面する。しかも、刑事・宮藤は火災事故の真相を探るべく秋山家に接近中。だが、どんな困難が迫ろうと、善吉が敢然と立ちはだかる!家族愛と人情味溢れるミステリー。
著者等紹介
中山七里[ナカヤマシチリ]
1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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三代目 びあだいまおう
299
『秋山善吉工務店』タイトルからの想像と全く違った。昭和を象徴するような頑固一徹の職人秋山善吉。曲がった事を嫌い、相手が誰であれ容赦せぬ言動で家族からも怖がられる。ある時息子家族の家が火事に、息子は焼死体で発見される。残された家族は善吉の家に転がり込むが・・・。これは家族愛と人間味が溢れる痛快な作品!孫が被る痛烈な虐め、孫が嵌まったヤクザ関連案件、義娘が陥る詐欺事件に対し善吉はいかに振る舞うのか。読んだらきっとあなたも善吉を好きになる。そして予想外のラストに心乱されるだろう。こんな親父に私もなりたい‼️🙇2020/03/05
ひさか
151
小說宝石2014年7月号〜2015年4月号掲載のものを2017年3月光文社から刊行。2019年8月光文社文庫化。5つの連作短編。火事で亡くなった息子の家族の面倒を見る善吉さんがかっけー。火災を捜査する刑事から家族を守る善吉さんが痛快。ちょっとベタな展開もありますが、面白く楽しめました。2020/11/23
SJW
140
面白かった❕火災で父 史親を失った秋山家族(兄弟と母)が、史親の実家の秋山善吉工務店に居候することになる。善吉は昔気質の爺さんで恐くて寄りつきがたいが、問題に巻き込まれた子供達と母を助け、次第に慕われていく。事件としては、火災が放火なのかというミステリーが焦点になってくるが、最後にちょっとしたどんでん返しもあり、爽やかなエンディング。多くの社会問題が提起され、「スタート!」の宮藤の兄弟が刑事として登場するのは、中山さんのファンとしてはとても嬉しい。2020/04/08
chiru
135
昭和の遺産的な頑固オヤジが、心地よいストレートパンチを決める快作。出火で家と父親を亡くした母と二人の子供は、父親の実家である善吉の元へ。しかし問題続出。兄は事件に巻き込まれ、小学生の弟は転校先でイジメられ、秋山家を疑う刑事…。危機的状況も、何事にも動じない善吉にかかればラフにクリア。人として大切なことを破れば、子供でも容赦なく張り倒す。人情深いゴッドファーザーみたいな善吉がカッコいい✨ 胸のすく活躍に続く驚愕展開に驚きつつ、大満足で読み終えました😊 子供を強くするのは『責任感』に超納得❕ ★4.52020/03/14
相田うえお
134
★★★★☆19092 本ジャケやタイトルからすれば工務店のポップな話かと思うわけですが、各章毎に目線を変えて 人付き合いや家族模様が描かれているヘビィ〜な作品でした。大工の棟梁(工務店社長)である秋山善吉という爺さん、口数が少なくて出番もここぞという時にしか登場しないんですが(口数少なきゃ 会話文書けないからか?)バシッと渋くて存在感あるし、なんといっても真心が感じられるんです。今の日本、こんな爺さんって少ないよね。これだけ強烈なキャラの爺さんなのに、作品ラストの展開は勿体なかったなぁ〜続編期待したのに。2019/10/06