内容説明
吉原で幇間をする絵師の暁雲(多賀朝湖/後の英一蝶)は、親しい太夫から勧められ、深川にあるという松尾芭蕉の草庵に出向く。折しも芭蕉庵では、何者かによる不穏な投げ文と、掛け軸が蛇の文様で汚された騒動に紛糾していた。琉球衣装を纏う謎の女に導かれ、暁雲は芭蕉の一番弟子の其角と共に、庵で起こる不可思議な事象を解明しようとするが…。哀切溢れる物語。
著者等紹介
田牧大和[タマキヤマト]
1966年東京都生まれ。2007年「色には出でじ風に牽牛」(『花合せ 濱次お役者双六』に改題)で第2回小説現代長編新人賞を受賞し、作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sin
52
自作自演の謎解きに大袈裟に振り回される一門…?いや物語の見所は其角と一蝶の出会いと、そこから始まる軽妙なやり取りを楽しむことにある。ただし痛ましい出来事の解題を脇に馴れ合う姿はいただけないが、作者の懐くであろう主人公二人への思いが伝わってくるようだ。2019/03/08
らび
25
良く練ってわざとらしさも残しつつ伝えたい人にのみ伝わる手の込んだ謎を造り上げましたが、投げ文の説明など自分に知識が無いせいか理解に至らず挙句読み飛ばしました(スミマセン)「かの女」は誰でなんなのか?前作があるのも知らずなので全般になんだかもやっと感が残ったのと、江戸上がりに起きた不幸な出来事が切なく、そして暁雲と其角のキャラが面白く確かにいいコンビでした。2019/06/15
Y.yamabuki
9
絵師の暁雲(一蝶)と芭蕉の弟子の其角のコンビが謎を解く。話そのものは切なく、江戸上がり(琉球の使節がそれぞれの代替わりに将軍に謁見に来た)を初めて知った けれど細やかなのか、天然なのか判らないキャラの其角とそれを上手くリードする暁雲のやり取りは楽しく、気軽に読める作品。 2019/04/16
まっきー☆
3
先年の連休に買って以来、ようやく読了。 酔いもせず、の続編。 最後は涙無くしては読めなかった。 世には不思議なことがあるのだ。 何より驚いたのは。。。この著者である田牧氏が女性だということ!! ずっと男性だと思っていたのに。。。 軽いショック。苦笑2020/01/14
陽ちゃん
3
暁雲(後の英一蝶)と其角のコンビ結成?暁雲が其角をいじりすぎな気もしますが…。其角の師匠芭蕉が住む庵で起きた事件を追う二人ですが、芭蕉も結構人が悪いですね。事件の犯人は早いうちにピンときたのですが、動機というか事件の背景が意外でした。2019/05/05