出版社内容情報
望月諒子[モチヅキ リョウコ]
著・文・その他
内容説明
ベルギーの小さな村の教会から、壁に掛けられていた絵がなくなった。この絵が実はブリューゲルの作品だと聞いていた牧師は、取り戻さなければならないと、知り合いに助けを求める。一方、スイスにある屋敷の屋根裏から、フェルメールの作品が見つかった。メトロポリタン美術館からは、フェルメールの絵が強奪された。名画は一体どこへ?騙し合いが始まった!
著者等紹介
望月諒子[モチズキリョウコ]
1959年愛媛県生まれ。銀行勤務後、現在は学習塾を経営。デビュー作『神の手』は電子出版で異例の大ヒットをして話題となる。2011年『大絵画展』で第14回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tulip
63
「大絵画展」のシリーズ第2弾。ベルギーの田舎の教会から消えたブリューゲルの絵、スイスの屋敷から発見された新しいフェルメールの絵、メトロポリタン美術館から強奪されたフェルメールの「少女」の絵。これら三枚の絵を巡って、テロ組織から国を守るCIA、胡散臭い日本の宗教団体、そして天才詐欺師が繰り広げる騙し合い。ストーリーより、作者が登場人物に語らせるフェルメール論、ブリューゲル論に持って行かれた。ここまでフェルメールをこき下ろしている文章は初めて。フェルメールが読んだら「憂鬱」になるだろうな。2021/04/30
ねこけし
29
あちこちに伏線が張られてて最後に一気に回収していく感じが好き。資金洗浄の仕組みがわかっていなかったので勉強にもなった。フェルメール好きなだけにフェルメール作品の悪い面をあげつらわれるのは痛かったけど、そういう商業的な、闇の部分を踏まえても私はフェルメールが好きだと思った。絵画が好きで作品に親しむというのが芸術観賞の醍醐味であるとも思うけれど、この作品が今この場所にある理由というのを突き詰めていくのはおもしろい。絵画の裏にある闇社会と金の匂いに辟易することもあるが根底には芸術に対する愛があると思いたい。2019/03/09
RIN
26
望月さんの絵画コンゲームもの第2弾。読み終えてみればタイトルにニヤリ(笑)。望月さんらしいきっちり緻密に書き込まれた騙し騙されは複雑に錯綜するが、フェルメールと同時代の周辺人物や海外界の(胡散臭い)事情等々、興味深い。何より、詐欺師貴族の辛辣なフェルメール評には思わず笑ってしまった。2020/01/09
takaya
23
初読みの作家さんの美術ミステリー。トリックが重層的に組み合わされて、途中でついていけなくなるような箇所もあり、アメリカのスパイ物の映画を見るような感じでした。美術好きの人には楽しめる小説ですが、フェルメール作品に絞らず、なぜブリューゲル作品まで織り込んだかが納得できません。最後のブリューゲル作品の帰結については、?という感じで腑に落ちませんでした。2020/04/30
えみ
21
整然とした小説。どんな展開になろうと真面目まっしぐら。絵画への深い知識と愛情が惜しむことなく書かれ、画家についてだけでなく絵画の背景にある歴史やその時代の概念まで盛り込まれている。素人にもそれなりに分かり易く説明されているうえ、単なる絵画の話だけではなくコンフィデンスゲームを通しながら詳しくなっていけるという一石二鳥の小説だった。特にブリューゲルとフェルメールについてはとことん追求してくれる。絵画を巡りここまでするか?という驚きと、ビジネスにしろ犯罪にしろ可能性が無限にあるのだと知り訳も分からず興奮した。2019/02/15